ローズ・ローザ・ローゼス





店じまいをして、1Rのアパートへ帰ると、到底僕一人では食べきれないほどの野菜が届いていた。


実家からの野菜だ。


僕はそれをビニール袋に入れて、アパートを出て、ローズの家へと向かった。


インターホンを3回くらい鳴らして、やっとローズは出てきた。髪の毛が濡れていて、メガネが少し曇っていた。


「お風呂に入っていたの。ごめんなさいね」


「いやいや、僕の方こそ。あ、これ」


「じゃがいもに、玉ねぎに、小松菜……かしら。どうしたの?」


「実家から送られてきたんだ。一人じゃ食べきれないから」


「とりあえず、お茶でも淹れるわ」とローズは家に入れてくれた。


「あなたの実家の野菜、結構好きなのよ。でも、家出したはずよね?」


「おそらく母親が親父に内緒で送ってるんだと思う」


「じゃあ、家出の原因はお父様なの?」


僕はそれには答えず、ローズが出してくれた紅茶を一口飲んだ。