部活の帰り道、雨が降ってきた。

 最初はポツポツって感じだったけど、どんどん雨の量が増えてきてる。

 これ、本降りになるかも?もう少し位ガマンしてよね!せっかく風弥と一緒に帰れてたってたのに、ツイてないなぁ。

 あ、あそこにビニールガレージがある!

 ちょうど車いないし、ここでちょっとだけ雨宿りさせてもらおう。

 ごめんなさーい、ちょっとだけ借りますねー?
 
 あ~あ……髪の毛も制服もけっこう濡れちゃたなぁ。せっかく前髪セットしてたのに台無しじゃん!

 えーっと、タオルタオル……
 あ、ヤバ?部室に忘れてきちゃった⁉
 
 あーもう!ホントにツイてない!

 
「ほら沙希、髪の毛ふいてやるから。これ今日おろしたての新品で、まだ使ってないやつだから大丈夫だろ?」


 そんな私を見かねた風弥がふわりと頭にスポーツタオルがかけてきて、そのままくしゃくしゃくしゃーっと髪の毛をふいてくれた。

 力加減とふわりとしたタオルの感触がなんだか心地いい。それで、なんだかぽぉーっとなって、目を瞑ったんだ。

 
 そしたら……






「んっ……………」



 んんっ?

 ちょ、ちょっと待って?

 これ……この唇の感触って………

 もしかして⁉






「ぷはっ」
 
 私は風弥の胸に顔を押し付け、必死に頭の中で今の出来事を整理する……って、できるかぁ!

 もぉぉぉぉ!あれ、アレだよね?間違いないよね?夢じゃないよね??

 ちょっと胸のドキドキが止まらないんですけどー?


「……何、してんのよ……?」

「あ、や、その、上向いて目をつぶってたから、良いのかなーって、思って……つい」

「……………つい?」

「ご、ごめん!勘違いだった!」



 ……あーもう!バカ!
 顔が、ほっぺたが熱い!熱い!
 まともに顔見れないじゃん!
 ()()()()()別に良いけど!


 ……でもね。ちょっとだけ納得いかないんだ。




「……もっかい、やり直し」

「え?」

()()()が勘違いとか、ヤダから」





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 雨が小降りになって来た。

 でも、もう少しこのまま雨宿りしてても、良いかな。