お前の初恋、邪魔はさせない

ある秋のこと。
俺は生徒会の仕事は終わらせてたんだが、今日ははどうも
体がだるい。
でも、俺はそれを甘く見た。
そうしたら廊下を歩いてて、
急に意識が遠のいた。
記憶はここで終わり、
次の瞬間には
どっかの部屋にいた。
「ハッ!?」
「あ、目覚めましたか?
良かったです。もうおかゆは
出来てるので、好きに食べてください。」
「誰だ。」
「わっ、私は、涼羽夏音って、言います…。」(すずはなの)
どうせ俺に媚び売って、
感謝しろ、お礼として付き合え
とか言うんだろ…。
「いい、帰る。それか叶を呼ぶ。」
別に、かっこいいやつを
望んでんなら叶も来たらこの女も
満足すんだろ。
「え…でも、心配です…。」
…は?
こいつの目、マジで
“心配”って感じしかしねぇ。
不純じゃない…?
意味わかんねぇ…
「…わかったよ。」
「ふふっ、良かったです。」
その笑顔は、とても眩しくて。
それと同時に、
知らない感情が流れ込んできた。
それはとても説明がつかない
モノだった。
「あれ?顔、赤いですよ?
熱が上がったのでしょうか…」
…!?
「いや、そんなことは…!」
「…?一応、今日はここに泊まります?」
「…いい!叶を呼ぶっ!」
プルルルル
「おい、叶?」
『なんだ、なんだ。急に。』
「今から言う場所に来れるか?」
『まず状況を話せ。』
「あ゛ー、めんど。
お前、説明しろ。」
『…?』
「あ…えっと…、涼羽夏音…って、言います。会長さん、熱で倒れてたので…とりあえず、私の部屋に連れてきておいたんです。」
「…そうか。」
なんだ?今の間。
…ま、あとで問い詰めるか。

コンコン
少しして、ノックの音が聞こえてきた。俺はその間も
寝させてもらったから、
だいぶ良くなった。
「歩けますか?」
「…ああ。」
心配してる女の目が、
なんだか可愛く見えてしまった。
熱のせいで、俺の頭
イカれたか…?
部屋帰ったらまた寝るか。
「入るぞ。」
玄関からの声。
「來、今度からは、
バカなことすんなよ。」
「バカ!?誰に向かって
言ってんだよ、叶!」
「もう…一応玲緒も
連れてきてるんだよ。」
玲緒ってのは、
鐘寝玲緒、(かねねれお)生徒会庶務だ。
庶務っつっても、
俺らの事を唯一知ってる第三者で、俺らから見たら全然
庶務じゃない。
「あぁ?なんで玲緒もなんだよ。
海満でいいじゃねぇか。」
「海満はもう寝てる。」
「あっそ。」
「はぁ…行くぞ。」
「さようなら、良い夢を!」
そうして俺らは
部屋を出て、俺を部屋まで
送ってから、二人も
部屋に帰っていった。

あー、何だったんだろ、
結局叶に聞くの忘れた。
俺もよく説明できねぇし…。
ま、いいや。寝よ。

そうして、1日が終わった。
これが、
俺らのこれまでとは変わった
生活の始まりだった。