初恋のジュリア


そして、篠宮さんのテキパキとした準備により、あっという間に食卓テーブルの上が賑やかになっていく。
熟した深い葡萄色をした赤ワインを初め、枝豆にサーモンとオニオンのサラダ、わたしが持って来た肉じゃが。
料理に統一感はないものの、同じ白い無地のお皿に盛り付けられた料理たちは、どれも美味しそうだ。

「こんなに準備していただいて、申し訳ないです。」

わたしがそう言うと、篠宮さんは「そんな大した準備してないですよ!はい、どうぞ!」と言い、2つあるワイングラスの内の一つをわたしに差し出した。

「ありがとうございます。」

そう言って、わたしが受け取ったワイングラスに篠宮さんは赤ワインを注いでいく。
それから自分のワイングラスにもワインを注ぎ、篠宮さんはワインが注がれたワイングラスを手に持つと、わたしの方へと向けた。

「それじゃあ、乾杯!」
「乾杯!」

軽くグラスをぶつけて乾杯をすると、ガラスの繊細な音が響く。
ワインを口に運ぶと、甘口の赤ワインの香りが口の中いっぱいに広がった。

「ん、美味しい。」
「でしょ?この赤ワイン、飲みやすくて美味しいんですよ!」
「普段ワインなんて飲まないんですけど、これなら飲めます。」
「良かった!じゃあ、俺は肉じゃが頂いちゃいますね!」

篠宮さんはそう言って、取り皿に肉じゃがを盛り付ける。
その姿を見て、わたしの身体には緊張が走った。

(お口に合うかな······)

不安に思いながら、篠宮さんの反応を窺うわたし。
篠宮さんは箸でジャガイモを割り、しなしなになった玉ねぎと一緒にジャガイモを口の中へと運んだ。

その瞬間がわたしにとっては、あまりにも長く感じたが、篠宮さんは「ん!旨っ!」と言いながら眉を上げ、くっきりした二重瞼を見開いていた。

「めちゃくちゃ美味しいです!」
「本当ですか?良かったぁ。」
「いや、本当に美味しい!桐島さん、料理上手ですね!」

そう言いながら、次々へと肉じゃがを口へ運ぶ篠宮さんの姿をわたしは微笑ましく感じた。

(こんなに喜んでもらえるなんて思わなかった。)

モリモリと美味しそうに肉じゃがを食べる篠宮さんを見て、さっきまでの不安は一気に吹き飛んでしまっていた。

「わたしは料理上手って程ではないですよ。一般的なものしか作れませんから。」
「いやいや、そんな事ないですよ!手料理食べるの何ていつぶりかなぁ···、姉が作ってくれたご飯を食べて以来かもしれないです。」
「お姉さんいらっしゃるんですね。」
「はい、昔から料理は姉の担当だったんですよ。うちは母親がいなかったので。」

あっけらかんと悲しい話をする篠宮さんに、何故かわたしと同じニオイを感じてしまう。
わたしに気を遣わせないように明るく話しているのか、それとも悲しみから立ち直っているのか···―――

理由は聞かないでおこうと思ったが、わたしが聞かずとも篠宮さんは理由を話してくれた。