「……ただいま」
そう言っても、返事はない。
ただ、ひんやりとした大理石の床が目に入るだけだ。
長くて、先の見えない廊下を、またひたすら歩き続けた。
そのとき。
「あら、びしょ濡れじゃない」
そう言われて、俺は後ろを振り返る。
すると、笑いながら俺を見る女と、俺と姿がそっくりの人間がいた。
「……」
「はあ、汚らわしい。濡れたら掃除が大変になるじゃない。あんた自体汚らわしい存在なんだから、それ以上汚らしくならないで」
いつもの如く、俺に投げかけられる悪口。
もう、それを聞いても何とも思わなくなってしまった。
「……母さん」
俺が、その人―――――母さんに向かって、言う。
すると、母さんは顔を醜くゆがませて、舌打ちをした。
「っ、母さんなんて呼ばないでちょうだい! あたしはあんたを息子だなんて思っていないわ。役立たず」
「……母さん、やめときな」
母さんの言葉に、俺とそっくりの声で返す彼。
俺とそっくりなくせに、そいつには優しい表情を見せる。
そう言っても、返事はない。
ただ、ひんやりとした大理石の床が目に入るだけだ。
長くて、先の見えない廊下を、またひたすら歩き続けた。
そのとき。
「あら、びしょ濡れじゃない」
そう言われて、俺は後ろを振り返る。
すると、笑いながら俺を見る女と、俺と姿がそっくりの人間がいた。
「……」
「はあ、汚らわしい。濡れたら掃除が大変になるじゃない。あんた自体汚らわしい存在なんだから、それ以上汚らしくならないで」
いつもの如く、俺に投げかけられる悪口。
もう、それを聞いても何とも思わなくなってしまった。
「……母さん」
俺が、その人―――――母さんに向かって、言う。
すると、母さんは顔を醜くゆがませて、舌打ちをした。
「っ、母さんなんて呼ばないでちょうだい! あたしはあんたを息子だなんて思っていないわ。役立たず」
「……母さん、やめときな」
母さんの言葉に、俺とそっくりの声で返す彼。
俺とそっくりなくせに、そいつには優しい表情を見せる。

