◇
まだ、今より少しだけ幼い私。
私は、誰かに話しかけている。
『ねえ……っ』
『ん?』
『そばにいるって、約束ね――――?』
そう言ったら、キミは当たり前だ、と笑いかけてくれた。
『そっちこそ、ずっとそばにいて』
『もちろん。ずーっと、大好き』
『……うん、知ってる』
ねえ、キミは誰……?
どうして、私はキミに話しかけているの?
私の記憶に、キミは存在していないはず。
なのに、どうして――――っ?
◇
「……! ……ちゃん、ナナちゃん!!」
「……っ」
久遠くんの声を聞いて、私は、ばっと起き上がった。
「よかった……大丈夫?」
「あれ、私、確か……っ」
階段を、踏み外して……。
その後のことが、思い出せない。
確か、頭痛がして……っ。
う……思い出そうとすると、頭痛を少し感じた。
心配そうな顔をしている久遠くんに申し訳なくなってきた。
心配、させちゃったんだよね……。
「心配かけて、ごめんね」
「大丈夫……ナナちゃん、階段踏み外して、頭から落ちそうになってたんだ。だから、俺が落ちないように引っ張ったんだけど、急に頭を抱えだして……」
「久遠くん、助けてくれたの……? 本当に、ありがとうっ」
私は、心からお礼を言った。

