久遠くんと話すようになってから、一週間が過ぎたある日のこと。
下校時間になり、私は、羽衣ちゃんに声をかけた。
「羽衣ちゃん、また明日っ!」
「うんっ、また明日ーっ!」
そう言って、私は教室を出た。
あっ……雨、降ってる。
それも、けっこう強い雨だ。
えー、どうしよ……。
今日は傘持ってきてない……っ。
ため息をつきながら、私は階段を降りて、校門へ向かった。
久遠くんと出会ってから、1週間が過ぎて。
変わったことと言ったら、やっぱり久遠くんと話す機会が増えた事だろう。
といっても、校舎が違うから、会う事も少ないんだけど。
登下校のときに、たまに会うくらいだ。
それから……私と久遠くんの噂がよくされている。
付き合ってるんじゃないかとか、そういう噂。
実際のところ、そんなことは全然ない。
ただの友達……。
――――ズキッ。
ん?
なんだろ、今の。
胸が、痛むような……。
気のせいかな……?
私は、少しだけもやもやしながら、そう思った。
なんで、もやもやしてるんだろ……っ。
不思議だなあ……。
そのとき。
そうやって悩み事をしていたからか。
それとも、雨のせいで、階段がぬれていたからか。
私は、階段を踏み外した。
えっ……。
視界が、スローモーションに動く。
や、ばい……っ。
このままじゃ、私……。
自分の体に来る、強くてかたい衝動を覚悟する。

