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昼休みの終わりを告げる予鈴が鳴って、私は少しだけ残念な気持ちになった。
「あー……もう、終わりか」
久遠くんも、残念そうな表情をしている。
久遠くんも、私と同じこと、思ってくれてるのかな……?
それなら……嬉しい。
「お昼、一緒に過ごせてよかった。久遠くん、誘ってくれて、ありがとう!」
私が笑顔で言うと、久遠くんは、少しだけ切ない顔をした。
あれ……どうか、したのかな?
「久遠くん……?」
「……あの、さ」
私の目を見て、恐る恐る聞いてくる久遠くん。
なんだろ……。
「……その『ありがとう』は、本音? それとも嘘?」
「えっ?」
質問の意味がわからなくて、目をぱちくりとさせる。
「めんどくさいとか……思って、ない?」
「っ、思ってるわけないよ!」
久遠くんの言葉を否定したくて、大きな声が出る。
め、めんどくさいなんて思うわけないよ……っ!
すると、ほっとしたように私を見る久遠くん。
「はあ……よかった……っ」
心から安心したようにそう言うから、頭の中にクエスチョンマークが浮かぶ。
そんなに、心配してたのかな……?
「でも、よかった。本音だってわかって」
「うん……よかったね?」
「はは、うん」
でも、そんなに大袈裟に言うなんて。
前に、何かあったのかな?
「あっ、早くしないと。じゃ、ナナちゃん、またな!」
さっきとはまるで違った、少年のような笑顔を見せるような彼に、私も笑顔を見せる。
「うん、またねっ」
うーん……久遠くんと一緒に居ると、違和感を感じることが時々ある。
まるで、何か隠し事をしているような……。
いや、気にしすぎかな?
だって、会ったのは今日が初めてなんだし!
そんなに、違和感を感じるはずもない。
きっと、気のせいだ。
そう思って、私は教室に戻った。
その後、羽衣ちゃんにさっきの出来事を聞かれて全部言うことになったのは、言うまでもない。

