季節は5月。新しいクラスにも慣れて、楽しく学校に通っている。
私───雨宮 七瀬は、今年で高校2年生になった。
制服を着て、鏡の前に立つ。
よし……おかしなところは、なさそう。
準備もばっちり。
私は、カバンを持って玄関に行った。
「お母さん、行ってくるね!」
「行ってらっしゃい。車が来ないか、十分に気を付けてね?」
「ふふっ、子供じゃないんだし、大丈夫だよ?」
「でも……っ」
「わかってるって。じゃあ、行ってきます!」
私は、お母さんにそう言って、家を出た。
心配性のお母さん。
前までは、ここまで心配性じゃなかったんだけど……。
実は、今年の3月に、私は交通事故に遭っている。
飲酒運転をしていた車に突っ込まれたんだって。
幸い、後遺症も特になかったんだけど、それ以来、お母さんは心配性になっちゃって。
でも、交通事故には気を付けないと。
私は、一か月間くらい昏睡状態だったし……。
病院生活やリハビリも辛かったから、もうあんな目には遭いたくない……っ。
私が通う高校は、この辺りでは有名な進学校。
私は、一生懸命勉強を頑張って、ここに来たんだ。
でも……なんで、わざわざここを選んだんだろう?
家からも少し遠いし。
別に、もう一段階レベルが下の高校でもよかったと思うんだけどな……。
でも、素敵な友達もできたし、よかった。
それに、制服も可愛いし。

