仕方ないじゃん。




「父が会社を経営しているのよね。それだけ」



本当にそれだけだ。

父と言っても名ばかりの。

家に帰ってくることもなく、仕事を愛しているあの男は名ばかりの私の父である。



「何という会社の名前ですか?そこまで世間にわたしの名は広まっていないはずですが……伊東財閥と取り引きでもしている会社ですか?」



「さあ?私は知らないわ。興味すらないし。さてと、私の質問にも答えてよね」



半分本当で半分は嘘。

そもそも伊東財閥と真っ向に取り引きできる会社なんて限られてるのに。

なんにも経営関係のこと知らないのかな。

こんなに家に囚われてそうなのに?

馬鹿馬鹿しいにも程があるわ。

別にそこまで詳しく言うつもりなんてさらさらないから教えてあげない。



「……姫というのは、わたしたちの所属グループ、Kira(キラ)の仲間であり守られるべき存在の方です。」



……それが斎藤なんだねぇ。

あぁ、消したい。

心の底から思う、消したい。

消えたらいいのに。

近くに私よりも愛される人がいるなんて許せない。

この世でいちばん美しいのは、私。

この世でいちばん愛されるべき人間は、私に決まってるでしょ。