「はあ」
また、気が付いたらため息が出ていた。
パソコンの時計は十一時を指している。
会社に着いてから二時間も経っているのが信じられない。
じりじりと仙崎さんの帰る時間が近づいてくる。
それなのに今日はまだ一度も仙崎さんの姿すら見ていない。
このまま仙崎さんすれ違うこともないまま帰ってしまうかも……。
嫌だ。そんなの嫌だ。
私は仙崎さんともう一度話がしたい。帰る前に少しでも話がしたい。
そのためには自分から動き出さないと。
詩織からメッセージがきた。今日は外回りでお昼一緒に食べれないみたい。
するとすぐに一枚の写真が送られてきた。
その写真を見てドキっと心臓が飛び跳ねる。
昨日の歓迎会の集合写真。
仙崎さんが真ん中であの眩しい笑顔を輝かせていた。
「仙崎さん、今日は社内で研修だよ。四時の飛行機だから二時前に会社を出るっぽい」
聞いてもいないのに詩織が仙崎さんのことを教えてくれる。
そして最後にグッドポーズのスタンプが送られてきた。
うわ、やっぱり詩織にバレてたんじゃん……。
けど、それがありがたい。持つべきものは良き同期であり友人だ。
二時に出るならまだ時間は残されている。
それまでに私にできることって何だろう?
天野課長が歩いているのが見えた。その瞬間、一つのアイデアが思い浮かんだ。
アイデアを頭の中で何度もシミュレーションをする。
大丈夫、これならできる。
あっという間に十二時になっていた。
食堂に向かいながら頭の中で何度も確認をする。
仙崎さんと話すこれが最後のチャンス。後悔はしたくない。
食堂に入ると、仙崎さんの姿が飛び込んできた。
今すぐに話しかけたい。
そう思って一歩、食堂に足を踏み込んだんだけど。
「いやー、もうすぐ札幌に戻っちゃうのか。寂しくなるな」
営業部の九条さんが仙崎さんに話しかけていた。二人ともすごく楽しそう。
さっきもらった写真にも二人は隣同士で仲良さげに写っていた。
営業部の若手エースって詩織が言っていた。
二人が仕事でペアになったらいい感じになりそうなのにな。
私が見たこともないような笑顔。仙崎さんの新しい一面を嬉しいけど、これから見られないと思うと寂しくも感じてくる。
二人の会話の邪魔はできない。それでも少しでも仙崎さんの近くにいたい。
空いていた二人の前の席に座る。
仙崎さんが私のことに気がついてくれるかどうか、それはわからない。
ただ私は少しでも仙崎さんの近くにいたい。
食事中も仙崎さんと九条さんは楽しそうに話をしている。
仙崎さんの声を聞けるだけで私にはラッキーだ。
さらりと髪の毛をまとめてみる。
側から見たら食事中に髪が邪魔になったまとめているようにしか見えない。
けどね、本当はそれだけが目的じゃない。
今日は髪にアロマの香水を使ってみた。
いい香りがするし、髪もいつもよりサラサラな気がする。
恋する乙女にできる努力は何だってやってみる。
「そろそろ時間だな」
後ろの二人が席を立つ音が聞こえた。仙崎さんのすぐ近くにいたのに一言も話せなかった。
食堂から出ていく仙崎さんの背中がどんどん小さくなっていく。
九条さんがいても一言くらい仙崎さんに話しかければよかった。
やっぱり私は後悔ばかりだ。
食堂の時計を見る。秒針が忙しなく動いている。
胸に大きな決意と覚悟を抱いて、席を立ち上がった。
また、気が付いたらため息が出ていた。
パソコンの時計は十一時を指している。
会社に着いてから二時間も経っているのが信じられない。
じりじりと仙崎さんの帰る時間が近づいてくる。
それなのに今日はまだ一度も仙崎さんの姿すら見ていない。
このまま仙崎さんすれ違うこともないまま帰ってしまうかも……。
嫌だ。そんなの嫌だ。
私は仙崎さんともう一度話がしたい。帰る前に少しでも話がしたい。
そのためには自分から動き出さないと。
詩織からメッセージがきた。今日は外回りでお昼一緒に食べれないみたい。
するとすぐに一枚の写真が送られてきた。
その写真を見てドキっと心臓が飛び跳ねる。
昨日の歓迎会の集合写真。
仙崎さんが真ん中であの眩しい笑顔を輝かせていた。
「仙崎さん、今日は社内で研修だよ。四時の飛行機だから二時前に会社を出るっぽい」
聞いてもいないのに詩織が仙崎さんのことを教えてくれる。
そして最後にグッドポーズのスタンプが送られてきた。
うわ、やっぱり詩織にバレてたんじゃん……。
けど、それがありがたい。持つべきものは良き同期であり友人だ。
二時に出るならまだ時間は残されている。
それまでに私にできることって何だろう?
天野課長が歩いているのが見えた。その瞬間、一つのアイデアが思い浮かんだ。
アイデアを頭の中で何度もシミュレーションをする。
大丈夫、これならできる。
あっという間に十二時になっていた。
食堂に向かいながら頭の中で何度も確認をする。
仙崎さんと話すこれが最後のチャンス。後悔はしたくない。
食堂に入ると、仙崎さんの姿が飛び込んできた。
今すぐに話しかけたい。
そう思って一歩、食堂に足を踏み込んだんだけど。
「いやー、もうすぐ札幌に戻っちゃうのか。寂しくなるな」
営業部の九条さんが仙崎さんに話しかけていた。二人ともすごく楽しそう。
さっきもらった写真にも二人は隣同士で仲良さげに写っていた。
営業部の若手エースって詩織が言っていた。
二人が仕事でペアになったらいい感じになりそうなのにな。
私が見たこともないような笑顔。仙崎さんの新しい一面を嬉しいけど、これから見られないと思うと寂しくも感じてくる。
二人の会話の邪魔はできない。それでも少しでも仙崎さんの近くにいたい。
空いていた二人の前の席に座る。
仙崎さんが私のことに気がついてくれるかどうか、それはわからない。
ただ私は少しでも仙崎さんの近くにいたい。
食事中も仙崎さんと九条さんは楽しそうに話をしている。
仙崎さんの声を聞けるだけで私にはラッキーだ。
さらりと髪の毛をまとめてみる。
側から見たら食事中に髪が邪魔になったまとめているようにしか見えない。
けどね、本当はそれだけが目的じゃない。
今日は髪にアロマの香水を使ってみた。
いい香りがするし、髪もいつもよりサラサラな気がする。
恋する乙女にできる努力は何だってやってみる。
「そろそろ時間だな」
後ろの二人が席を立つ音が聞こえた。仙崎さんのすぐ近くにいたのに一言も話せなかった。
食堂から出ていく仙崎さんの背中がどんどん小さくなっていく。
九条さんがいても一言くらい仙崎さんに話しかければよかった。
やっぱり私は後悔ばかりだ。
食堂の時計を見る。秒針が忙しなく動いている。
胸に大きな決意と覚悟を抱いて、席を立ち上がった。



