研修期間は恋の予感

飛行機の座席に座ると張り詰めていた疲れが一気に押し流されてきた。

目を瞑ると東京に来てからの一週間が脳裏に浮かび上がる。

長いようで短い時間だった。
五日間がこんなにも短く感じたのは久しぶりだ。

ずっと本社に来たいと思っていた。来れて本当によかった。

それにあの人にも会うことができた。

脳内の思い出があの人の笑顔で止まる。

俺がこの会社を選んだのはあの時のことがあったからだ。

まさか彼女が今は本社にいて、会社案内をしてくれるとは思ってもいなかった。

東に雲と書いてシノノメか。

本社で彼女の名札を見た時、俺は目が飛び出るくらい丸くなっていただろうな。

気がつけば彼女の姿ばかりが浮かんでくる。

彼女と初めて会ったのは二年ほど前。
ここの商品を初めて知った時だ。

あの日のことは今でもはっきりと覚えている。