魔力を固めると箱になるんだもん

 これを見た幼馴染のバジルに、前すっごくバカにされたんだよね。
 それでムカついたあたしは、試行錯誤で魔力をこねくり回したのだ。

「でね、色々試した結果、魔力を箱型にすることにしたの」
「箱……」
「これ面白いんだよ。ほら、こんな風に他の魔力を入れることが出来るの」
「入れる……」

 お父さんもラベンダーさんも、なんか片言しか話せなくなってるよ。そんなに変かな?

「たとえばお父さんの水魔法の塊を入れると――はい、綺麗に収まりました」
「はっ?」

 丸い魔力の塊って、この箱に入れるときちんと収まるんだよね。水だからかと思ったんだけど、他の魔力でも同じだった。

「これ、便利じゃない? たとえばさ、水の適正ゼロの人のところへ、水魔法の塊を渡すこともできるんだよ? 火魔法使えない人に火魔力入れて渡せば、一人でも火を起こせるとか。――変、かな?」

 自分以外の魔力を運べるってあたしはアリだと思ったんだけど、やっぱり魔法適正ゼロ判定になっちゃうのかな。それはそれで別にいいけど。お隣のお姉さんは魔力ほぼゼロでも優秀な染め物士だし、そういう道もアリだよね。

 そんなことを考えながら、呑気にあくびをかみ殺していたあたしは知らなかった。

 この魔法が、やがて箱魔法と呼ばれることを。


 数年後。

「ミント・グリージャ。西の都にいる老治癒士の元へ行き、光魔法を君の箱に入れて持ち帰ってくれ」

 病弱な王女様のために、そんなとんでもない依頼を受ける羽目になるなんて、このときのあたしは夢にも思わなかったんだよねぇ……。