鏡の前に立つと、見慣れない自分が映っていた。
真新しい制服は、まだ少しだけ硬くて、肩に力が入る。
スカートの裾を整えて、リボンの位置を直す。
これで大丈夫、と言い聞かせるように小さく息を吐いた。
「愛里、まだ?」
背後から聞こえた声に振り返る。
同じ制服を着た愛依が、腕を組んで立っていた。
「うん、今行く」
「毎回それ言うよね。ほら、遅れるよ」
そう言いながらも、愛依は待ってくれる。
私は鞄を持って、彼女の隣に並んだ。
家を出ると、春の朝の空気が頬に触れた。少し冷たくて、でも新しい。
同じ制服を着た生徒たちが、通学路にぽつぽつと増えていく。
「高校かぁ……」
私が呟くと、愛依は前を見たまま答えた。
「まあ、なんとかなるでしょ」
その声はいつも通り強気で、少しだけ安心する。
しばらく歩いたところで、愛依の歩幅がわずかに変わった。
視線の先を見ると、同じ制服を着た男子が十人ほど、道を塞ぐように固まっている。
「多くない……?」
「多いね」
そう答えた瞬間だった。
その中の一人と、目が合った。
黒髪で、少し癖のある前髪。
切れ長な目が、こちらをまっすぐ見ている。
心臓が一拍、遅れた。
すぐに視線を逸らそうとしたのに、周りの男子たちがこちらを見てざわつくのがわかった。
ひそひそ声。視線。にやにやした空気。
「……何あれ」
愛依が、低く呟いた。
「感じ悪」
次の瞬間、手首を掴まれる。
「行くよ」
「え、ちょ――」
返事をする間もなく、引っ張られて走り出した。
後ろの気配を振り切るように、無言で足を動かす。
校門が見えたところで、ようやく立ち止まる。
愛依は私の手を放して、息を整えた。
「……ああいうの、ほんと無理」
「う、うん……」
胸がまだ少し苦しい。
でも、それ以上何も言えなかった。
昇降口でクラス名簿を確認する。
並んだ二つの名前を見つけて、思わず顔を見合わせた。
「同じクラスだね」
「当然でしょ。双子なんだから」
教室に入ると、人はまだ少なかった。
窓際に一人、静かに外を見ている女の子がいる。
黒髪のボブで、前髪が少し重たい。
「……ねえ」
愛依が私を見る。
「話しかけてみる?」
「え、私?」
「でしょ」
一瞬迷ってから、私はその子に近づいた。
「あの……おはよう」
声をかけると、彼女は少し驚いたように振り向いたあと、ふっと笑った。
「おはよう」
「同じクラス、だよね?」
「うん。桃内莉子」
「戸田愛里です。こっちは、愛依」
「よろしく!」
気づけば、三人で自然と話していた。
そのとき、廊下の向こうからやけに騒がしい声が近づいてくる。
「うるさ……」
愛依が小さく言う。
振り向いた瞬間、また目が合った。
朝、通学路で見た男の子。
一緒にいた、明るい茶髪でパーマの男の子が、こちらに気づいて声を上げた。
「お、同じクラスじゃん」
「ちょ、優一、やめろって」
軽い調子で近づいてきたところで、他のクラスメイトたちが一気に教室に入ってきた。
「……タイミング最悪」
茶髪パーマの子がそう言って、流れはそのまま入学式へ向かうことになった。
体育館で、指定された席に座る。
隣に誰かが座る気配がして、何気なく横を見る。
 ――また。
 あの男の子だった。
 驚いて目を見開いた私とは違い、彼は私に気づいていない。
 ただ、体育館に掲げられた日本国旗を静かに見つめている。
「……」
声をかけることもできず、私は前を向いた。
入学式が終わり、教室へ戻る途中。
後ろから、他クラスの男子たちのひそひそ声が聞こえる。
「聞こえてるんだけど……」
愛依が小さく言う。
「無視しよ」
そう言って歩き続けた、そのとき。
「ねえねえ」
慌ただしい足音と一緒に、声がかかった。
振り向くと、さっきの茶髪パーマの男の子が立っている。
「同じクラスだよね?よろしく」
また、何かが動き出した気がした。
軽い声に呼び止められて、足が止まる。
明るい茶髪にパーマのかかった男の子が、距離を詰めて笑っていた。
「……えっと」
私が戸惑っていると、愛依が一歩前に出る。
「ちょっと、近いんだけど」
「え、そう? 普通じゃない?」
「普通じゃない」
きっぱり言われても、男の子はどこか楽しそうだ。
「あ、あの……戸田愛里です」
「お、ちゃんと名乗ってくれるんだ」
男の子はぱっと表情を明るくした。
「俺、橋優一。よろしくね、愛里ちゃん」
名前を呼ばれただけなのに、胸が小さくざわつく。
こういう距離感に慣れている人だ、と思った。
「……こっちは愛依」
「双子ね、了解」
そのとき、少し後ろから落ち着いた声がした。
「優一、もうその辺にしとけ」
振り向くと、短髪で色黒の男の子が立っている。
表情も声も落ち着いていて、場の空気が一瞬で変わった。
「雪也までそんなこと言う?」
「初日から飛ばしすぎ」
「えー、挨拶しただけじゃん」
「その距離感が問題」
淡々と言われて、優一は「はいはい」と両手を上げる。
「わかったって」
そう言ってから、急にこちらを振り返った。
「えーっと、こいつが柳田雪也。落ち着き担当」
「余計なこと言うな」
雪也は軽くため息をつく。
「で」
優一は、さらに後ろを指さした。
「無口なのが津島光誠。あんま喋んない」
一瞬だけ、黒髪の男の子がこちらを見る。
でも、すぐに視線を逸らした。
「……」
何も言わない。
それが、逆に印象に残った。
「で、こっちが瀬戸内春」
名前を呼ばれた男の子は、少しだけ首を傾げた。
「どうも」
短い一言。
声は静かで、どこか不思議な間があった。
その空気に、莉子が自然に入り込む。
「へえ、もう自己紹介大会?」
にこっと笑って、私たちを見る。
「朝からにぎやかだね」
「ほんとそれ」
愛依が即答する。
「元気なのは一人だけだけど」
「ひど!」
優一が大げさに肩を落とした。
雪也が時計を見る。
「そろそろ戻らないと」
「はいはい」
優一は軽く手を振る。
「じゃあまたね、愛里ちゃん」
「……はい」
返事をすると、男子たちはそのまま歩き出した。
最後に、私はもう一度だけ、津島と呼ばれた男の子を見る。
彼はもうこちらを見ていなかった。
名前を知っただけ。
それだけなのに、胸の奥に静かに残る。
――津島光誠。
まだ、それ以上のことは何もわからない。


教室に戻り、チャイムが鳴ると、さっきまでのざわつきが嘘みたいに静かになった。
黒板の前では担任の先生が淡々と自己紹介を始めていて、チョークの音だけが一定のリズムで響いている。
私は席に座り、鞄の中から筆箱を取り出した。
まだ新しいそれは、少し硬くて、机の上でうまく収まらない。
「……」
中身を出そうとした、そのとき。
ころん。
シャープペンシルが、机の端から床へ落ちた。
「あ……」
思わず小さく声が漏れる。
椅子を引こうとした瞬間、前の席の背中が邪魔で、うまく屈めない。
その間に、誰かの手が視界に入った。
すっと伸びて、床に落ちたシャープペンシルを拾い上げる。
「……はい」
低い声。
顔を上げると、隣の席の彼だった。
津島光誠。
さっき優一が勝手に紹介していた名前が、頭の中で静かに結びつく。
「あ、ありがとう」
受け取るとき、指先がほんの一瞬だけ触れた。
驚くほど冷たくて、でもすぐに離れる。
「……うん」
それだけ言って、津島くんは前を向いた。
それ以上、何もない。
でも、心臓の音だけが、少し大きくなった気がした。
黒板に視線を戻す。
先生の話は続いているのに、内容が頭に入ってこない。
――ただ拾っただけ。
それだけのことなのに。
横目で見ると、津島くんはノートを取りながら、まったく普段通りの様子だった。
さっきの出来事など、最初からなかったみたいに。
前の席から、愛依がちらっとこちらを振り返る。
一瞬だけ目が合って、すぐに前を向いた。
気づいた、と思った。
さらに斜め前では、莉子が退屈そうにペンを回している。
ふとこちらを見て、意味ありげに小さく笑った。
「……?」
首を傾げると、彼女は何も言わずにノートに戻った。
授業は淡々と進む。
チョークの音、ページをめくる音、椅子の軋む音。
その中で、私は何度も、さっきの指先の感触を思い出してしまう。
視線を前に向けたまま、津島くんが一度だけ、ペンを持ち替えた。
それだけで、なぜか存在を意識してしまう。
まだ、名前を知っただけ。
会話も、ほとんどしていない。
それなのに。
授業の終わりを告げるチャイムが鳴ったとき、私は少しだけ、ほっとしている自分に気づいた。
同時に、
――次の授業も、隣なんだ。
そんなことを考えてしまった自分に、少し戸惑いながら。


四時間目が終わり、教室の空気が一気に緩んだ。
椅子を引く音や、誰かの笑い声が重なって、昼休みが始まる。
「お昼、どうする?」
莉子が弁当袋を取り出しながら言う。
「教室でいいよね」
「うん」
私と愛依も同時に頷いて、三人で窓側の席をくっつけた。
窓から入る春の光はまだ柔らかくて、教室の隅まで明るい。
お弁当の蓋を開ける音が、やけに大きく感じた。
「愛里のお弁当、きれい」
「え、そう?」
「双子なのに全然違うよね」
「私は味重視だから」
愛依はそう言って、気にせず箸を進める。
そのときだった。
「お、いいとこじゃん」
聞き覚えのある声。
顔を上げると、優一がいつの間にか目の前に立っていた。
「一緒に食べよ」
「は?」
愛依の反応は即座だった。
「なんで」
「え、昼だから?」
「理由になってない」
優一は気にした様子もなく、空いている椅子を勝手に引く。
「細かいこと気にしない気にしない」
「気にする」
そう言いながらも、完全には止めないあたりが愛依だった。
その後ろから、少し遅れて三人がやってくる。
「……やっぱ来たか」
雪也が軽く呟く。
「優一が先に行くと、だいたいこうなる」
「わかってるなら止めて」
「無理」
淡々と答える雪也の横で、春が教室を見回した。
「ここ、空いてる?」
「……どうぞ」
莉子が自然にスペースを作る。
最後に、津島くんが立っていた。
一瞬だけ迷うように視線を動かしてから、私の隣ではなく、少し斜め前の席に座る。
距離はある。
でも、同じ輪の中だ。
「結果的に、七人だね」
莉子が楽しそうに言う。
「クラスの半分占拠してない?」
「気のせい」
優一は弁当を広げながら、当然のように話し続ける。
「ていうかさ、女子三人って仲良すぎじゃない?」
「今日知り合ったばっかだけど」
「でももう一緒に昼食べてるし」
「距離感おかしいの、そっちだから」
愛依がぴしっと返す。
そのやり取りを聞きながら、私は箸を動かす。
視線を上げると、津島くんが黙々と食べているのが見えた。
音を立てず、必要以上に話さない。
でも、雪也や春が話すときは、ちゃんとそちらを見る。
「津島さ、静かすぎ」
優一が急に言う。
「今さら」
「感想とかないの?」
「……特に」
短い答え。
「ほらな」
春が小さく笑った。
「でも聞いてるよ」
「聞いてるなら返事しなよ」
「聞いてるだけ」
その会話に、莉子がくすっと笑う。
「面白いバランスだね」
「でしょ? これが俺たち」
優一は満足そうだ。
ふと、津島くんが箸を止める。
視線がこちらに向いた……気がして、私は少しだけ背筋を伸ばした。
でも彼は、すぐに弁当に目を落とす。
勘違いかもしれない。
それでも、同じ空間で同じ時間を過ごしていることが、
朝よりも、授業中よりも、はっきりと感じられた。
「昼休み、短いね」
雪也が時計を見る。
「ほんと。もう終わりそう」
「じゃあ次も頑張りますか」
優一が大げさに立ち上がり、近くにいたのにもう席が離れていく。
それなのに、不思議と、さっきよりも距離は近づいた気がした。
私は弁当箱の蓋を閉じながら、この昼休みを、静かに心の中にしまった。


午後の授業はそのまま部活紹介と体験の時間に切り替わった。
校内のあちこちで、先輩たちの声や笛の音、笑い声が重なっている。
私は、クラスの列に混じって校舎を出たとき、ふと視線を横に流した。
ちょうどその先に、グラウンドが見えたからだった。
運動部の紹介が始まっているらしく、走る音や掛け声が風に乗って届くその喧騒の向こう、グラウンドの端――校舎寄りの場所で、キャンバスを立てている生徒が目に入った。
「あ……」
無意識に、声が漏れた。
白いシャツに身をかがめ、絵筆を動かしているその姿は、間違えようがなかった。
黒髪が少し前に落ちて、真剣そうに何かを描いている。
(津島くん……?)
美術部の体験。
そう書かれた看板が、その近くに立っている。
自分でも驚くほど、気づいたときには足が動いていた。
「……津島、くん」
呼びかけると、彼は一瞬だけ筆を止め、ゆっくり顔を上げた。
切れ長の目が、少しだけ見開かれる。
「……戸田」
名前を呼ばれただけで、胸が小さく跳ねた。
「美術部、来てたんだね」
「……通りすがり」
短い返事。けれど、そっけなさはない。
そのまま、なんとなく並んで歩き始める。
一緒に回ろう、なんて言葉はなかったのに、気づけば隣にいた。
運動部の賑やかな呼び込みを横目に、別の部活の説明を覗き込み、時々立ち止まる。
会話は多くない。それでも、沈黙が気まずくなることはなかった。
やがて、別々の部活を見て回ろう、という流れになった。
ほんの少し離れた場所。同じ中庭を挟んで、別のブース。
私は展示物に目を向けながら、説明を聞いていた。
そのときだった。
「一年生?」
背後から、低い声がした。
振り返ると、三年生らしい男子が立っていた。
名札と、余裕のある笑み。
「どこのクラス? 一人?」
一歩、距離を詰められる。
言葉にできない違和感が、背中を這い上がった。
「あ、えっと……」
返事に詰まった、その瞬間。
ぎゅっと、手首をつかまれた。
「こっち」
短く、低い声。
気づけば、引き寄せられていた。
状況を理解する前に、私の体は津島くんの動きに従っていた。
校舎の影。
人目の少ない裏手へと、足早に連れていかれる。
「……大丈夫?」
手を離され、問いかけられる。
私は、少し遅れて頷いた。
「……ありがとう」
胸の鼓動が、まだ速い。
津島くんは何も言わず、少しだけ視線を逸らした。
けれど、その立ち位置は、自然と愛里を庇うようだった。
校舎裏には、遠くの喧騒だけが響いている。
さっきまでと同じ学校なのに、まるで別の場所みたいだった。
校舎裏は思った以上に静かだった。
遠くで聞こえる掛け声や拍手が、壁に遮られてぼやけている。
私は、まだ少し速いままの心臓の音を落ち着かせようと、深く息を吸った。
「……さっきの人、知り合い?」
問いかけると、津島くんは首を横に振った。
「知らない」
「じゃあ、どうして……」
言いかけて、言葉が途切れる。
「……嫌そうだったから」
それだけ言って、彼は視線を落とした。
理由はそれ以上でもそれ以下でもない、というように。
「……ありがとう」
もう一度、そう言うと、津島くんは少しだけ困ったように眉を動かした。
「……気にするな」
沈黙が落ちる。
でも、不思議と居心地は悪くなかった。
「美術部、どう?」
何気なく聞くと、津島くんは一瞬考えてから答える。
「……静かで、いい」
「津島くんに合ってる気がする」
そう言うと、彼は一度だけど私の方を見た。
「……戸田は?」
「私は……まだ、迷ってる」
何かを始めることに、少しだけ怖さがあった。
津島くんは、少し間を置いてから言った。
「……ゆっくりでいいと思う」
その言葉が、胸の奥に静かに落ちた。
チャイムの音が、校舎に響く。
体験時間の区切りを知らせる音だった。
「戻るか」
「……うん」
並んで歩き出す。
さっきより、歩幅が自然に揃っていた。
校舎裏を抜ける直前、ふと足を止めた。
「……さっき、手」
そう言いかけ津島くんが振り返る。
慌てて「いや」と言って、
「助けてくれて、本当にありがとう」
本音だった。心からありがとうって。
一瞬、彼は言葉に詰まったように見えた。
「……ああ」
短く答えて、先に歩き出す。
その背中を見ながら、私は胸の奥に残る温もりに、気づいてしまった。
校舎裏を抜けても、胸の奥がまだ落ち着かなかった。
歩いているはずなのに、心だけが少し遅れているみたいだった。
(……守られたんだ)
そう思ったのは、校舎の影から人の気配が戻ってきてからだった。
助けてもらった、という言葉よりも、誰かが自分の前に立ってくれた、という感覚のほうが近い。
あの時、声をかけられて。
どう返せばいいのかわからなくて、ただ立ち尽くしていた私の手を、津島くんは迷いなくつかんだ。
『こっち』
それだけだったのに、不安でいっぱいだった頭が、一瞬で静かになった。
「久しぶりだな…」
津島くんに聞こえないようにつぶやく。
何も言わなくても引っ張ってくれる人に出会ったのは久しぶり。
横を歩く津島くんを見る。
表情はほとんど変わらない。
まるで、さっきのことが特別でも何でもなかったみたいに。
でも、だからこそ。
(どうして、そんなふうに動けるの……)
私が戸惑っているのを見て、理由を聞くより先に、行動した。
怖くなかったのかな、とか。
面倒じゃなかったのかな、とか。
そんなこと、全部どうでもよさそうに。
部活体験の人混みが近づいたとき、津島くんが少しだけ前に出た。
「……人、多いから」
それだけ言って、歩く速さを落とす。
――あ。
気づいてしまった。
この人は、きっといつもこうなんだ。
大げさなことは言わないのに、必要なときに、必要なだけ動く。
(……ずるい)
そんなことされたら、何も感じないほうが難しい。
胸の奥が、きゅっと締めつけられる。
でも同時に、思い出した。
――恋愛は、怖い。
――もう、失いたくない。
なのに…。
津島くんの背中を見ていると、その怖さが、ほんの少しだけ薄れている気がした。
まだ、何も始まっていない。
ただ一緒に歩いて、言葉を交わしただけ。
それなのに。
(……この人となら)
考えてしまった自分に、慌てて首を振る。
今はまだ、だめ。
そう思っても、手を引かれたときの感覚が、消えてくれなかった。
それが、私が初めて「誰かに守られた」とはっきり感じた瞬間で、
そして――
恋に向かってしまう、いちばん最初の一歩だったことを。