天使と悪魔~私、ヤクザの愛人になりました~

初めて会った時、白く穢れのない雰囲気に息をのまれた。悪いことを一切しないまっとうな人間。そう、感じさせた。

そんな人間がいるはずがない。この女は心の中にとんでもないものを隠している偽善者。そう自分に言い聞かせることしかできなかった。

今の俺にできることは組を守ること。その為には、必要のないものは切り捨てるべきだと思った。

そうしなければ、地獄が繰り返されるだけだ。


「鷹也さん?お疲れですか?」
「さすがに下っ端50人の相手は身体にこたえるさ。」


この女は大したものだ。俺の脅しに屈せず、言葉を返した。そんな女、照子以外見たことがなかった。心に助けを求め守られるだけの存在。心が幸せならそれでもよかったが、弱い女と契れば、組の将来はない。楽しいだけの家族ごっこ。そんなものに衰退してしまったら、会長にも申し分が立たなかった。


「これからは天と呼んでいいか?本当はお嬢っていうほうが良いんだろうが、そういう柄でもないだろ?」

「鷹也さんに呼んでいただけるんでしたら、どんな呼び方でも嬉しいですよ。」


この女の笑顔はどこか心が癒されるところがある。若いからか……?


女神のような、優しく温かさがある。女との面識がない男ならすぐに襲ってもおかしくない。


「愛想を振りまくのはいいが、気のない相手にそんな簡単に笑顔を見せるな。誤解させると面倒なことになるぞ。」

「それは厄介ですね……ですが、皆さんの前では笑顔でいたいんです。笑う門には福来る、とも言いますし、皆さんが少しでも楽しく毎日を過ごせるなら私も嬉しいですから。」

「そういえば、元々愛人だったんだって?光に仕込んでもらっていたなら、相当夜の方も激しいだろう。」
「今でも恥ずかしいことばかりですが、心さんに喜んでもらえるならどんな恥ずかしいことでもしたいんです。それが私の愛情ですから。」


迷いのない目で見られると、さすがの俺でも心を揺さぶられる。誰の邪魔もなく、これから組が大きくなれればいいが……。



「叔父貴―!稽古の続きをお願いします!」
「あいつら、ちったあ俺の身体を労われよな……。」

「鷹也さん。」

「なんだ?」

「冷たいお茶とおにぎりを用意して待っていますからね。皆さんのことをお願いします。」





俺もこういう女を探すかな。俺の一生を添い遂げてくれるような、理想の女を。