天使と悪魔~私、ヤクザの愛人になりました~

「亜魔野様、いつもお世話になってます。」


店に入ると黒服と呼ばれる人が挨拶に出てきました。キャバクラというのは初めて入りますが、とても眩しく華やかな内装です。



「最近、店の調子はどうだ?」

「いやー、おかげさまで繁盛してますよ。これも亜魔野様に感謝です。」



キャバ嬢と呼ばれる人は10人ちょっと。皆さん、スタイルが良くてお綺麗です。




「あれ……天使……?」
「由美子さん……?」



零のお店にお遣いを頼まれた時以来の再会でした。顔色が悪く、頬もこけています。あれから何が彼女に起こったんでしょう……




「なんで天使が亜魔野組の若頭と一緒にいるの?」
「私は……亜魔野心さんの婚約者です。今日は心さんと共に見回りに来ました。」



「え……婚約者……?」


驚いた表情を見せる由美子さん。そうですよね……いきなりヤクザの方の婚約者だなんて聞いたら、信じられませんよね。




「私……天使に悪いことしたって後悔してるの……あんな酷いことしておいてこんなこと言うなんて恥ずかしいけど……私のことを助けてくれないかな……?」

「たす…ける……?」
「実は……零の店の件でもめた後、借金の連帯保証人にされちゃってさ……8,000万円を返すまで、こうやって働かなきゃいけなくなって……。天使から亜魔野さんに言ってもらえないかな?」



どうしましょう……かつては友人だった由美子さん……助けたい気持ちと心さんが言っていたように、揺さぶられないよう迷う自分がいます。



今思えば、由美子さんが私にしたことは、許されることではないと思います。それでも……少しでも力になりたいと思うのは、私のエゴなんでしょうか……。


「天、ちょっとこっち来い。」
「はい……!」



心さんに言った方がいいですよね……でも、言ったら否定される気がします。一体どうすれば……


「友達への挨拶は済んだか……?」
「はい……。」


「思い悩むことがあったら遠慮なく言え。さっき黒服から奇妙なことを聞いた。従業員の中には闇金を利用しているやつもいるらしい。」

「闇金って……悪徳商法ですよね……。」



「ああ。その女がお前に近づいた。だから心配なんだ。」
「あの……後で……車の中でお話してもいいですか?」


「ああ、わかった。」


心さん、すぐにお伝えできなくてごめんなさい。少しだけ、少しだけでいいんです。私に迷う時間をください。


伝えたらきっと、真っ向から否定されます。


でも……それでも力になりたいと思う私に……心を落ち着かせるための時間をいただきたいんです。