天使と悪魔~私、ヤクザの愛人になりました~

お父さんは倒れ、お母さんもあまり良い印象を持っていないという感じでした。どう説明したら納得してもらえるんでしょうか……。


「おや、天かい……?」
「おばあ様……!」

「顔をよく見せておくれ。ずいぶんと大人になったねえ。今日は遊びに来たのかい……?」
「実は……お父さんとお母さんに大切な話があって……大切な人を紹介したかったんですけど、上手く説明できなくて……。」


「お相手はどんな人なんだい……?」
「その……ヤクザさんなんです。」

「ヤクザさん………そうかい、極道の方と付き合っているのかい。昔はうちもお世話になったものだよ。」

「このお店がですか……?」
「そうだよ。アンティーク家具だけじゃなく骨董品も扱っていたからねえ、用心棒が欲しくて頼んだものさ。亡くなった爺さんと一緒にお酒の席を楽しんだこともあるよ。」

「さっき、2人に説明したらお父さんは倒れて……お母さんは今、心さんたちと話しています。」


「最近の人は組の人たちとの付き合いがないから、2人は驚いたんだろうね。天……こんなに立派に成長してくれて嬉しいよ。」
「え……?」


「天には昔から人に優しくすることを教えてきただろう。その意味を理解してくれて嬉しいんだよ。人間には表と裏がある。それを見極めることは大切。でも、差別するようなことはしてほしくなかった。たとえ相手がどのような相手でも、受け入れられる心を持ってほしかったんだよ。天が極道の人と付き合うということは、私が伝えたかったことをきちんと分かってくれたんだと安心したよ。」



おばあ様の言葉に、涙が零れました。お会いしたらきっと、おばあ様を責めてしまうと思っていたから。


どうして、優しさを私に教えたの、優しさのせいで人生が壊れてしまった……そう、伝えるつもりでした。



でも、おばあ様が優しさにこだわっていた思いが、今分かった気がします。優しさは与えるだけでなく、相手を受け入れるということ。


おばあ様が教えてくださっていたからこそ、心さんと真剣にお付き合いしたいと思えたこと。全てが繋がった気がします。



「結婚もするのかい?」
「はい、いずれは。一緒にいたいんです。おばあ様は、認めてくださいますか?」


「当たり前じゃないかい。あんなに小さかった天が今、人生の伴侶を決めたんだ。誰が何といおうと、誇りに思うよ。天、おめでとう。」