天使と悪魔~私、ヤクザの愛人になりました~

「天の様子、どうだ?」
「相変わらず何も食べないし、起き上がりもしない。」

逢魔組での戦争も終わり組へ帰るが、天は何も言葉を発さず塞ぎ込み始めた。郁人を刺したことを期に天の中が壊れたんだろう。今まで優しさの中に生きていた人間にとって、地獄に突き落とされる感覚はものすごく辛いはずだ。


「天、入るぞ。」
「心さん……」


「お前、その腕……切ったのか?」

「私は……化け物です。この世に生きる価値なんてありません。自分を偽り偽善を行った私への罰です。イクト君と私の出会いがなければ……京子さんを巻き込むこともありませんでした……私のせいで、巻き込んだんです。」


「これは俺の考えだが、今回の件はお前だけのせいじゃない。でも、お前が無関係だとも言えない。たしかにお前がいたことで京子が攫われたことは事実だが、郁人が感情を拗らせただけだ。京子は必ず俺が見つける。だからもう、自分自身を怨んで傷つけるな。辛いなら、その気持ちを俺に吐けばいい。」
「どうして優しくしてくれるんですか……?」


「好きな女の傷つく顔は、好きじゃない。それだけだ。手当てしてやるから腕を出せ。」
「私のこと……好きなんですか?」

「なんだ?セックスまでしないと信じられないか?」
「愛人って何なのか、調べました。心さんと私の関係はただの肉体関係ですよね……?」


「抱いたら好きになった。そう言えば納得するか?俺はお前に偽善者だって言ったこと、後悔してるんだ。お前は本当に優しさを持っている。だから今これだけ苦しんでいるんだろ?偽善者なら、何とも思わない。自分のせいだと思い詰めて、自分自身を傷つけるなんてこと、偽善者にはできないだろ。」


「心さんは優しいですね。イクト君と同じヤクザだなんて思えません。それとも……イクト君が……」


「いいか、ヤクザっていうのはな、ただ残酷に生きてるわけじゃない。たしかに非道なこともするし、組の争いもある。地獄を見る奴だっている。でもこれが裏の世界の生き方だ。どんなやつだって、必死に生きてる。自分の居場所を見つけるために。天、自分を嫌いになるんじゃなくて俺に堕ちろ。地獄の果てまで付き合ってやる。」




私を見つめ、そう語る心さんの言葉に私の身体が支配された気がしました。



「不束者ですが、よろしくお願いします。」

「このままお前を抱きたいんだが、お前はどうしたい……?」

「抱いて……欲しいです。私の身体を心さんでいっぱいにしてください。」



この日の夜のセックスは、今までにないくらいの快楽を感じました。心さんと私の気持ちが結びついたような、幸せな一夜。私には、この人しかいない……この人を愛しぬきたい、そう感じました。




私の心を心さんに貫かれたのです。