天使と悪魔~私、ヤクザの愛人になりました~

イクト君に飛び掛かり、短刀を何度も振り落とす。

京子さんにしたことも、心さんたちを巻き込んだことも、私にしたことも何もかもが許せなくなりました。イクト君の過去があったから、組に入ったことも追及できませんでした。私が踏み込んでいいものか分かりませんでした。

でも……組に入ったからどうっていう話じゃありません。どんな人間でも、やっていいことと悪いことはあります。人を傷つけ嘲笑う人になってしまって私は悲しいです。


「天、お前が捧げた優しさの行く末がこれだ。情けをかけてはいけない人間がこの世には五万といる。それでも人に優しさを与えることが正しいと言えるか?」


「優しさを持つことは、正しいことだと思っていました。優しさを持てば幸せになれる。信じていれば必ず幸せを与えられる。善い心を持てば正しい道を拓くことができる。でも……信じたから私は京子さんを失いました。心さんが言う通り、優しさなんて全部偽善でした。自分が正しいと思いたかったから嘘をついて生きてきた。イクト君……もう私にはあなたなんかいりません。最後に引導を渡してあげます。」

「天ちゃん……助け…お願い……殺さないで。1人にしないで……僕が悪かった。お願い………」



イクト君の声が聞こえても、私の身体は動きをやめない。イクト君への恨みだけが、私の身体を動かしている。



「天、それが人間の闇だ。そのままそいつを殺せば、お前の心は晴れるだろう。だが、京子が戻る保証はない。そのまま殺人者になるか、情けをかけて京子を取り戻すために利用するか、好きな方を選べ。俺はお前の意見を尊重する。」




京子さんを取り戻せなくなる……そんなの、そんなの……



「京子さんを……返して。お願いだから、京子さんを返して……!うわぁああああっ。」





ただただ泣き叫びました。京子さんが戻らない……そんなこと、絶対に嫌です。イクト君がしたことは許せないません。ですが……私には殺せません……。京子さんを……取り戻したい……


「天、俺の上着を羽織ってろ。郁人、京子の居場所を吐け。何が何でも京子を連れ戻すんだ。分かったか……?」
「は、はい……。」