天使と悪魔~私、ヤクザの愛人になりました~

「おい、お前らやめろ。若が……」


逢魔組の下っ端の言葉で天を見ると、短刀を郁人に向けていた。


「今すぐ姐さんを守らないと……」

「お前ら動くな……」
「兄貴、なんでですか……姐さんが危ないんですよ?」


「天がどうするのか見届けるんだ。たしかにこれは亜魔野組と逢魔組の揉め事だが、天がケリをつけようとしてる。天の心の痛みも考えてやれ。」


「イクト君……皆が私たちを見てるよ。私たちが、この勝負の終わりを決めるみたい。」
「そんなに震えてるのに、僕を刺せる……?僕は引き金を引くだけで、天ちゃんに傷をつけられる。」

「本当に……?」

「え…?」


「それなら今すぐ引き金を引いてよ。イクト君が大好きな、残酷な世界を教えて。私を血みどろにしてみてよ。私は惨めな姿なんて見せない。久しぶりにイクト君に会えて本当に嬉しかった……だけど、今のイクト君はもう、私の知ってるイクト君じゃない。ただの残虐な若頭……それなら私は、イクト君の傍にはいられない。私の大切な人を巻き込んで、傷つけて……どれだけのことをしたのか分かってる?人を争わせて、自分は高みの見物……?イクト君も知るべきだよ。痛みも苦しみも。私が、教えてあげる。」