天使と悪魔~私、ヤクザの愛人になりました~

「冠木町でまた殺人が起きた。堅気の人間ばかりが狙われている。」


最近、毎日のように冠木町で殺人事件が起こっています。表向きには詳細が伏せられていますが、心さんが言うには四霊組の仕業だそうです。


【四霊組】、とても危険で恐ろしい暴力団。盗みや賭博だけでなく、殺人や人身売買を平気で行う組と教えてもらいました。


京子さんの時のような生ぬるいものではなく、臓器や労働力を主にやり取りをする危ない存在。


「今まで以上に街の見回りは行うが、うちの組が狙われるのも時間の問題かもな。冠木町は亜魔野組の領域。都市部で一番でかい領域だから、奴らも欲しいんだろ。」

「四霊組と亜魔野組は……仲良くできないんでしょうか?」



「まあ、ヤクザの世界に仲良くなんていう考えはないからな。組を背負って生きてる。勝つか負けるか……生きるか死ぬか。分かりやすくて残酷な世界だよ。」


「兄貴……ちょっと、話せる?」



私の心を察したのか、京子さんが光さんを連れて廊下に出ていきます。慣れ親しんだ光さんの口から出た“生きるか死ぬか”という言葉。



今までの人生の中で一番恐ろしく感じました。



私は極道を何一つ理解できていませんでした。もしかしたら、組の皆さんが死んでしまうかもしれない……光さんや京子さん、大地くんも死んでしまうかもしれない……。



心さんを失う未来が来てしまうかもしれない……。



そんな残酷な世界を迎えてしまったら、私は生きていけるんでしょうか……?