幸せは誰にでも訪れるもの。信じていれば必ず与えられるもの。善い心を持てば必ず正しい道を拓くことができる。

「天使~、愚痴聞いてよ。」
「はい。私でよければ、何でも聞きますよ。」

「本当、いつも助かる~!」

私は手使天(てづかそら)と申します。名前のせいか天使と呼ばれています。
この春大学への入学をきっかけに都内に上京してきました。

「こないださ、彼がヤりたいっていうからホテルに行ったのに、あいつ速攻で寝やがってマジムカついてさ。こっちは気合入れていろいろ用意したってのに……。」
「前に言っていた彼氏さんですね。」

「で、帰るときに文句言ってやったら、あいつ何て言ったと思う?『お前は手使みたいに慎ましくなれ、萎える』とかぬかしやがった。女の子の皆が皆、天使みたいじゃねえってのにさ。」

「京子さんの良さは潔いところと突き抜けていて頼もしいところなのに、そこに気が付かないだなんてひどいです!京子さんにしかない魅力はたくさんあるのに……。」

「やっぱり、あんたは天使だわ。私が男なら絶対彼女にする。」
「ありがとうございます。」


〈善い心を持てば必ず正しい道を拓くことができる。〉



おばあさまに教えてもらったこの言葉を信じ人の心を癒せるよう努める。これが私に与えられた神様からの使命だと私は思っています。



「あ、天使だ。」
「おは。」
「皆さん、おはようございます。」


京子さんを通じて出会った方々。いつも私に話しかけてくださる優しい方々。



「天使~、悪いんだけどさ、今日もお遣い行ってくんない?うちらお金なくてさ。」
「はい、わかりました。授業が終わったら行ってきますね。」


「マジ助かる。本当感謝だわ。」

「お金は今度渡すからさ。」


「お気になさらないでください。いつでも大丈夫ですので。」




入学してなかなかなじめない私に話しかけてくださり、こうして毎日買い出しやお遣いをお願いされます。


役に立てているのだと思うととても嬉しいです。



「今日は冠木町(かぶきちょう)に行ってほしいんだけどさ、行ったことある?」
「冠木町……ですか?初めてですが頑張ってみます。」


「んで、零って店にいるやつからもらってほしいものがあるんだ。」

「分かりました。後で調べておきますね。」