私は、物心ついた時から前世の記憶を持っている。





茜色に染まった空の下を、私– –早野環奈は歩いていた。

委員会の仕事が長引き、なんだかんだで完全下校時刻まで学校にいた私。

歩きながら、疲れて少し重くなった肩をほぐしていると、ちょうど横断歩道の信号が赤になってしまった。

その少し後ろで立ち止まり、空を見上げる。


– –昼間にらんらんと輝く太陽のような〝あの子〟とこの夕暮れ空は、あまり似合わないかもしれない。

前世の私と、唯一無二の親友だった〝あの子〟

名前は分からない。


でも– –



また会いたい。

また笑い合いたい。

また– –親友になりたい。





– –「心奈?」

「えっ?」

私の名前は〝環奈〟だ。

〝心奈〟じゃない。

それなのに、なぜか私は振り返った。

少し日焼けた肌に、目鼻立ちがくっきりした顔。

頭の高い位置でくくられたポニーテールが、風でさらさらと揺れている。

着ているのは、他校の制服だ。


驚いた顔で見つめ合う私たち。



私– –知ってる。

その真っすぐな茶色い瞳を。

笑うと太陽のようにパッとその場を照らしてくれる、その顔を。





あなたは– –