凛は、自宅に着くと、すぐにパソコンを開いた。
USBメモリを挿す。
データを開く。
画面に、ファイルが表示された。
「メディアジール副作用報告_2024.xlsx」
凛は、そのファイルをクリックした。
エクセルが開く。
膨大なデータ。
凛は、スクロールしていった。
症例番号、患者ID、年齢、性別、症状、重症度、報告日。
行が、どこまでも続いている。
凛は、一番下まで行った。
最後の行。
症例番号:157。
157件。
凛は、息を呑んだ。
公式発表では、「軽微なもの数件のみ」。
でも、実際には157件も副作用が報告されている。
凛は、唇を噛んだ。
隠蔽。
明らかな隠蔽だ。
凛は、データを詳しく見ていった。
重症度の列。
「軽度」「中等度」「重度」と分類されている。
凛は、フィルターをかけた。
重度のケースだけを表示する。
35件。
35件も、重度の副作用が報告されている。
凛は、その内容を読んでいった。
「呼吸困難、意識障害」
「全身発疹、アナフィラキシー様症状」
「肝機能障害」
「腎機能低下」
どれも、命に関わるような症状だ。
凛は、手が震えるのを感じた。
怒りと恐怖が、混ざり合っている。
こんなに重篤なケースがあるのに、会社は隠していた。
いや、隠しているだけじゃない。
メディアジールを、まだ販売し続けている。
凛は、別のシートを開いた。
「削除済み症例」
凛は、その名前を見て、固まった。
削除済み?
シートを開く。
そこには、50件以上のデータが並んでいた。
削除された症例。
報告書から、意図的に削除されたデータ。
凛は、その内容を見た。
どれも、重篤なケースばかりだ。
死亡例も、3件あった。
凛は、椅子にもたれかかった。
死亡例。
メディアジールで、人が死んでいる。
そして、それを隠蔽している。
凛は、拳を握りしめた。
許せない。
絶対に、許せない。
凛は、パソコンから離れ、洗面所に向かった。
顔を洗おうと思った。
でも、鏡に映る自分の顔を見て、手が止まった。
疲れた顔。
目の下には、クマができている。
頬は、こけている。
凛は、鏡の中の自分を見つめた。
私は、何のために働いてきたんだろう。
その疑問が、心に浮かんだ。
会社のため?
エクセリア製薬のため?
田中部長のため?
違う。
そんなものじゃなかった。
凛は、鏡に手を置いた。
私は、何のために広報の仕事をしてきたんだろう。
人々に、正しい情報を伝えるため。
それが、広報の役割じゃなかったのか。
でも、私は何をしてきた?
会社の都合のいい情報だけを流して。
不都合な真実は、隠して。
それが、私の仕事だった。
凛は、涙がこみ上げてくるのを感じた。
私は、何をしてきたんだろう。
会社を守るため?
それとも……。
凛は、鏡の中の自分に問いかけた。
でも、答えは出ない。
ただ、虚しさだけが残る。
凛は、顔を覆った。
涙が、頬を伝う。
止まらない。
私は、間違っていた。
ずっと、間違っていた。
会社のために働くことが、正しいと思っていた。
でも、それは違った。
会社が間違っている時、それを正すのが、本当の仕事じゃないのか。
凛は、顔を上げた。
鏡の中の自分を、じっと見つめる。
涙で、視界がぼやけている。
でも、はっきりと見える。
この顔。
疲れ果てた、この顔。
これが、私の選択の結果だ。
会社に従い続けた結果だ。
凛は、涙を拭いた。
もう、やめよう。
会社に従うのは、もうやめよう。
真実を、明らかにしよう。
悠真を、救おう。
患者たちを、救おう。
それが、私の本当の役割だ。
凛は、鏡から目を離した。
深呼吸をする。
心が、少し軽くなった気がした。
決めた。
もう、迷わない。
凛は、洗面所を出た。
リビングに戻る。
パソコンの画面には、まだデータが表示されている。
157件の副作用報告。
35件の重篤なケース。
3件の死亡例。
凛は、そのデータを見つめた。
これが、真実だ。
この真実を、世に出さなければいけない。
凜はベッドに横になった。
今日は、長い一日だった。
でも、明日から、新しい戦いが始まる。
凛は、目を閉じた。
眠れるかわからない。
でも、心は決まっている。
もう、引き返せない。
そして、引き返すつもりもない。
凛は、貝殻を握りしめた。
悠真。
約束、守るから。
必ず、あなたを救うから。
凛は、カバンから取材ノートを取り出した。
悠真から聞いた、患者たちの情報。
年齢、性別、症状。
凛は、そのメモとパソコンのデータを照合し始めた。
一人目。
「50代女性、めまい、頭痛」
凛は、データを検索した。
該当する症例が、ある。
症例番号52。
一致する。
二人目。
「60代男性、呼吸困難、発疹」
データを検索。
症例番号78。
これも一致する。
凛は、次々と照合していった。
悠真が話していた患者たち。
その全員が、このデータに載っている。
凛は、唇を噛んだ。
やっぱり……。
悠真の患者たちも、メディアジールの犠牲者だ。
凛は、椅子に深く座り込んだ。
絶望と怒りが、胸を満たす。
でも、同時に、決意も固まった。
この人たちを、救わなければいけない。
悠真を、救わなければいけない。
凛は、データをもう一度見た。
削除済み症例のシート。
その中に、悠真の患者に該当する人がいないか確認する。
凛は、一人一人のデータを見ていった。
その時、ある症例に目が止まった。
「32歳男性、医師、めまい、頭痛、倦怠感」
凛の心臓が、止まりそうになった。
32歳。
医師。
症状は、軽度に分類されている。
でも、報告日を見ると、先月だ。
凛は、震える手でマウスを動かした。
患者IDを見る。
イニシャルが記載されている。
「M.Y.」
宮下悠真。
凛は、息が詰まった。
悠真だ。
悠真自身も、メディアジールの副作用を受けている。
凛は、画面を凝視した。
まだ軽度だ。
でも、これが進行すれば……。
凛は、拳を握りしめた。
絶対に、そんなことさせない。
今なら、まだ間に合う。
凛は、そのデータを印刷した。
証拠として、残しておかなければいけない。
プリンターが、音を立てて紙を吐き出す。
凛は、印刷された紙を手に取った。
悠真の症例。
これが、決定的な証拠だ。
凛は、その紙を見つめた。
必ず、あなたを救う。
心の中で、誓った。
凛は、スマホを手に取った。
母に、電話をかけようと思った。
大きな決断をする前に、母の声を聞きたかった。
凛は、母の番号を選んだ。
コール音が鳴る。
数回のコールの後、母が出た。
「もしもし、凛?」
母の声。
優しい声。
凛は、涙が出そうになった。
「お母さん」
凛の声は、震えていた。
「どうしたの? 何かあった?」
母は、すぐに凛の異変に気づいた。
「ううん。ただ……声が聞きたくて」
凛は、正直に答えた。
「そう。最近、忙しそうだったものね」
母は、優しく言った。
「体調は、大丈夫?」
「うん。大丈夫」
凛は、少し嘘をついた。
でも、母には心配かけたくなかった。
「お母さん」
凛は、意を決して言った。
「私、大きな決断をしようとしてるの」
母は、少し沈黙した。
それから、ゆっくりと答えた。
「そう。どんな決断?」
「それは……まだ言えないんだけど」
凛は、言葉を選んだ。
「でも、すごく大事なことで。私の人生を変えるかもしれない」
母は、また少し沈黙した。
それから、穏やかに言った。
「凛。あなたはもう大人よ。自分で決められる」
「でも……」
「後悔しないと思う方を、選びなさい」
母の言葉が、凛の心に染みた。
「どんな選択をしても、お母さんはあなたの味方よ」
凛は、涙が溢れてきた。
「ありがとう……」
凛の声は、涙声になっていた。
「泣いてるの?」
「ううん。嬉しくて」
凛は、涙を拭いた。
「お母さん、ありがとう。私、頑張るね」
「うん。応援してるわ」
母は、温かく言った。
「また、落ち着いたら連絡するね」
「待ってるわ。無理しないでね」
「うん。バイバイ」
「バイバイ」
凛は、電話を切った。
スマホを握りしめる。
母の言葉が、勇気をくれた。
後悔しない方を、選ぶ。
凛は、もう決めている。
真実を明らかにする。
それが、後悔しない選択だ。
凛は、机の上に置いてあった貝殻を手に取った。
悠真がくれた、貝殻。
光にかざすと、虹色に光る。
凛は、貝殻を握りしめた。
悠真。
約束、果たすから。
必ず、あなたを救う。
凛は、パソコンを開いた。
メールソフトを起動する。
宛先を入力する。
木村記者。
以前、取材で知り合った、信頼できる記者だ。
凛は、件名を入力した。
「重大な情報があります」
本文を書く。
「木村さん、お久しぶりです。エクセリア製薬の水瀬です。お話ししたいことがあります。できれば、直接お会いして話せないでしょうか」
凛は、その文章を読み返した。
これでいい。
詳細は、会って話す。
凛は、送信ボタンにカーソルを合わせた。
手が、震えている。
でも、迷いはない。
凛は、クリックした。
送信完了。
凛は、パソコンを閉じた。
もう、引き返せない。
でも、それでいい。
凛は、貝殻を胸に当てた。
これから、戦いが始まる。
会社との戦い。
真実のための戦い。
凛は、窓の外を見た。
夜明けが近い。
空が、少しずつ明るくなっている。
新しい一日が、始まろうとしている。
凛は、立ち上がった。
準備をしなければ。
戦うための、準備を。
凛は、決意を胸に、朝を迎えた。
USBメモリを挿す。
データを開く。
画面に、ファイルが表示された。
「メディアジール副作用報告_2024.xlsx」
凛は、そのファイルをクリックした。
エクセルが開く。
膨大なデータ。
凛は、スクロールしていった。
症例番号、患者ID、年齢、性別、症状、重症度、報告日。
行が、どこまでも続いている。
凛は、一番下まで行った。
最後の行。
症例番号:157。
157件。
凛は、息を呑んだ。
公式発表では、「軽微なもの数件のみ」。
でも、実際には157件も副作用が報告されている。
凛は、唇を噛んだ。
隠蔽。
明らかな隠蔽だ。
凛は、データを詳しく見ていった。
重症度の列。
「軽度」「中等度」「重度」と分類されている。
凛は、フィルターをかけた。
重度のケースだけを表示する。
35件。
35件も、重度の副作用が報告されている。
凛は、その内容を読んでいった。
「呼吸困難、意識障害」
「全身発疹、アナフィラキシー様症状」
「肝機能障害」
「腎機能低下」
どれも、命に関わるような症状だ。
凛は、手が震えるのを感じた。
怒りと恐怖が、混ざり合っている。
こんなに重篤なケースがあるのに、会社は隠していた。
いや、隠しているだけじゃない。
メディアジールを、まだ販売し続けている。
凛は、別のシートを開いた。
「削除済み症例」
凛は、その名前を見て、固まった。
削除済み?
シートを開く。
そこには、50件以上のデータが並んでいた。
削除された症例。
報告書から、意図的に削除されたデータ。
凛は、その内容を見た。
どれも、重篤なケースばかりだ。
死亡例も、3件あった。
凛は、椅子にもたれかかった。
死亡例。
メディアジールで、人が死んでいる。
そして、それを隠蔽している。
凛は、拳を握りしめた。
許せない。
絶対に、許せない。
凛は、パソコンから離れ、洗面所に向かった。
顔を洗おうと思った。
でも、鏡に映る自分の顔を見て、手が止まった。
疲れた顔。
目の下には、クマができている。
頬は、こけている。
凛は、鏡の中の自分を見つめた。
私は、何のために働いてきたんだろう。
その疑問が、心に浮かんだ。
会社のため?
エクセリア製薬のため?
田中部長のため?
違う。
そんなものじゃなかった。
凛は、鏡に手を置いた。
私は、何のために広報の仕事をしてきたんだろう。
人々に、正しい情報を伝えるため。
それが、広報の役割じゃなかったのか。
でも、私は何をしてきた?
会社の都合のいい情報だけを流して。
不都合な真実は、隠して。
それが、私の仕事だった。
凛は、涙がこみ上げてくるのを感じた。
私は、何をしてきたんだろう。
会社を守るため?
それとも……。
凛は、鏡の中の自分に問いかけた。
でも、答えは出ない。
ただ、虚しさだけが残る。
凛は、顔を覆った。
涙が、頬を伝う。
止まらない。
私は、間違っていた。
ずっと、間違っていた。
会社のために働くことが、正しいと思っていた。
でも、それは違った。
会社が間違っている時、それを正すのが、本当の仕事じゃないのか。
凛は、顔を上げた。
鏡の中の自分を、じっと見つめる。
涙で、視界がぼやけている。
でも、はっきりと見える。
この顔。
疲れ果てた、この顔。
これが、私の選択の結果だ。
会社に従い続けた結果だ。
凛は、涙を拭いた。
もう、やめよう。
会社に従うのは、もうやめよう。
真実を、明らかにしよう。
悠真を、救おう。
患者たちを、救おう。
それが、私の本当の役割だ。
凛は、鏡から目を離した。
深呼吸をする。
心が、少し軽くなった気がした。
決めた。
もう、迷わない。
凛は、洗面所を出た。
リビングに戻る。
パソコンの画面には、まだデータが表示されている。
157件の副作用報告。
35件の重篤なケース。
3件の死亡例。
凛は、そのデータを見つめた。
これが、真実だ。
この真実を、世に出さなければいけない。
凜はベッドに横になった。
今日は、長い一日だった。
でも、明日から、新しい戦いが始まる。
凛は、目を閉じた。
眠れるかわからない。
でも、心は決まっている。
もう、引き返せない。
そして、引き返すつもりもない。
凛は、貝殻を握りしめた。
悠真。
約束、守るから。
必ず、あなたを救うから。
凛は、カバンから取材ノートを取り出した。
悠真から聞いた、患者たちの情報。
年齢、性別、症状。
凛は、そのメモとパソコンのデータを照合し始めた。
一人目。
「50代女性、めまい、頭痛」
凛は、データを検索した。
該当する症例が、ある。
症例番号52。
一致する。
二人目。
「60代男性、呼吸困難、発疹」
データを検索。
症例番号78。
これも一致する。
凛は、次々と照合していった。
悠真が話していた患者たち。
その全員が、このデータに載っている。
凛は、唇を噛んだ。
やっぱり……。
悠真の患者たちも、メディアジールの犠牲者だ。
凛は、椅子に深く座り込んだ。
絶望と怒りが、胸を満たす。
でも、同時に、決意も固まった。
この人たちを、救わなければいけない。
悠真を、救わなければいけない。
凛は、データをもう一度見た。
削除済み症例のシート。
その中に、悠真の患者に該当する人がいないか確認する。
凛は、一人一人のデータを見ていった。
その時、ある症例に目が止まった。
「32歳男性、医師、めまい、頭痛、倦怠感」
凛の心臓が、止まりそうになった。
32歳。
医師。
症状は、軽度に分類されている。
でも、報告日を見ると、先月だ。
凛は、震える手でマウスを動かした。
患者IDを見る。
イニシャルが記載されている。
「M.Y.」
宮下悠真。
凛は、息が詰まった。
悠真だ。
悠真自身も、メディアジールの副作用を受けている。
凛は、画面を凝視した。
まだ軽度だ。
でも、これが進行すれば……。
凛は、拳を握りしめた。
絶対に、そんなことさせない。
今なら、まだ間に合う。
凛は、そのデータを印刷した。
証拠として、残しておかなければいけない。
プリンターが、音を立てて紙を吐き出す。
凛は、印刷された紙を手に取った。
悠真の症例。
これが、決定的な証拠だ。
凛は、その紙を見つめた。
必ず、あなたを救う。
心の中で、誓った。
凛は、スマホを手に取った。
母に、電話をかけようと思った。
大きな決断をする前に、母の声を聞きたかった。
凛は、母の番号を選んだ。
コール音が鳴る。
数回のコールの後、母が出た。
「もしもし、凛?」
母の声。
優しい声。
凛は、涙が出そうになった。
「お母さん」
凛の声は、震えていた。
「どうしたの? 何かあった?」
母は、すぐに凛の異変に気づいた。
「ううん。ただ……声が聞きたくて」
凛は、正直に答えた。
「そう。最近、忙しそうだったものね」
母は、優しく言った。
「体調は、大丈夫?」
「うん。大丈夫」
凛は、少し嘘をついた。
でも、母には心配かけたくなかった。
「お母さん」
凛は、意を決して言った。
「私、大きな決断をしようとしてるの」
母は、少し沈黙した。
それから、ゆっくりと答えた。
「そう。どんな決断?」
「それは……まだ言えないんだけど」
凛は、言葉を選んだ。
「でも、すごく大事なことで。私の人生を変えるかもしれない」
母は、また少し沈黙した。
それから、穏やかに言った。
「凛。あなたはもう大人よ。自分で決められる」
「でも……」
「後悔しないと思う方を、選びなさい」
母の言葉が、凛の心に染みた。
「どんな選択をしても、お母さんはあなたの味方よ」
凛は、涙が溢れてきた。
「ありがとう……」
凛の声は、涙声になっていた。
「泣いてるの?」
「ううん。嬉しくて」
凛は、涙を拭いた。
「お母さん、ありがとう。私、頑張るね」
「うん。応援してるわ」
母は、温かく言った。
「また、落ち着いたら連絡するね」
「待ってるわ。無理しないでね」
「うん。バイバイ」
「バイバイ」
凛は、電話を切った。
スマホを握りしめる。
母の言葉が、勇気をくれた。
後悔しない方を、選ぶ。
凛は、もう決めている。
真実を明らかにする。
それが、後悔しない選択だ。
凛は、机の上に置いてあった貝殻を手に取った。
悠真がくれた、貝殻。
光にかざすと、虹色に光る。
凛は、貝殻を握りしめた。
悠真。
約束、果たすから。
必ず、あなたを救う。
凛は、パソコンを開いた。
メールソフトを起動する。
宛先を入力する。
木村記者。
以前、取材で知り合った、信頼できる記者だ。
凛は、件名を入力した。
「重大な情報があります」
本文を書く。
「木村さん、お久しぶりです。エクセリア製薬の水瀬です。お話ししたいことがあります。できれば、直接お会いして話せないでしょうか」
凛は、その文章を読み返した。
これでいい。
詳細は、会って話す。
凛は、送信ボタンにカーソルを合わせた。
手が、震えている。
でも、迷いはない。
凛は、クリックした。
送信完了。
凛は、パソコンを閉じた。
もう、引き返せない。
でも、それでいい。
凛は、貝殻を胸に当てた。
これから、戦いが始まる。
会社との戦い。
真実のための戦い。
凛は、窓の外を見た。
夜明けが近い。
空が、少しずつ明るくなっている。
新しい一日が、始まろうとしている。
凛は、立ち上がった。
準備をしなければ。
戦うための、準備を。
凛は、決意を胸に、朝を迎えた。



