永遠のような時間をかけてマゼンタは図書室でまた本を5冊借り、
緩慢な動きで貸し出し手続きを機械で行い、
ゆっくりとその本をスクールバッグに入れ、まるでわたあめでも入っているような感じで、ひょい、と持った。

「むずかしそうな本読むんだね」
「……?」
すっかり透明感あふれるオレンジ色に包まれた涼しい通学路を駅へと向かう。マゼンタと歩いていると、すべてがスローモーションに見える。ちょっとぜいたくな時間の使い方。
お、バラ咲いてる!! こんな時期に!? 赤っぽいピンク。かわいい!!

「俺は本はちょっと苦手かな。
マンガは大好き」
俺がそう言ってニコッと笑ったら、つられたのかマゼンタもニコッと笑う。かわいい。
白い小さな花がぽっと咲いたみたい。

「マゼンタもマンガ好き?」
コクッ。
「アニメは?」
コクッ。

「今期、何観てる?
俺はね、」
やっべ、
すっげぇ楽しくなってきちゃった!!