ほっとけないよ

俺が、ぼーっとしているヤマシロくんにそう釘を刺すと、
ヤマシロくんがのそり、のそり、と、黒いスクールバッグを探って黒い長財布を出す。
(ぶ、ブランドものだ!!)

チャリンチャリーン。

お約束のようにヤマシロくんは、
小銭を床にぶちまけた。

「……」

ふたりで、無言で小銭をひろった。
「もしかしてヤマシロくん。
これで所持金、全部?」

ヤマシロくんは、今日、
52円しか持っていなかった -