その日の夜。
病室に戻った途端、体の奥に沈んでいた疲れが、どっと浮かび上がってきた。
視界がふっと揺れる。
キーンと甲高い音が鼓膜を突き刺す。
倒れ込むように、ベッドに横たわる。
「はぁ……」
浅く息を吐く。
瞼を閉じると、昼に見た青空が広がる。
——あの空、ちゃんと伝わったかな
天音の笑顔が浮かび、思わず口元が緩む。
瞼を薄く開ける。
窓越しの空に、ポツンと一つだけ星が光っていた。
『一緒に見よう』
あの日の声が、静かに蘇る。
指先に、わずかに力が入った。
ゆっくりと息を吐き出して、瞼を閉じる。
鼓動が、頼りなく響く。
「……まだだ」
あと一ヶ月。
まだ、この心臓は止まるわけにはいかない。

