同じ時間に、同じ階段を上る。
扉の前で深く息を吸って、吐く。
体が、ほんのりと温かくなる。
扉を開き、その隙間から夜が覗いた。
けれど、いつもの手すりのそばに、影はない。
……いない、よな……。
閉めた扉に背を預け、そのままずりずりと体を滑らせて座り込む。
雲の隙間から、星が淡く、まばらに瞬いている。
大丈夫かな……。
胸の奥がじわりと重くなる。
夜明けのあの日から三日が過ぎていた。
気づけば、天音のことばかり考えている。
どうして来ないのか。
なぜ、あんなふうに帰ったのか。
この一ヶ月、毎日のように夜を共にしていたはずなのに、僕は天音のことをなにも分かっていなかった。
——天音のこと、何も知らなかったんだな。
そう思うと、胸の奥がざわついて、余計に落ち着かなくなっていく。
天音がどんな病気なのか。
どんな毎日を過ごしてきたのか。
ちゃんと話してなかった。
きっと、ずっと、避けてきた。
今までは、
絵を描いて、それを渡して、
夜空を見上げては、綺麗だと言い合った。
それだけで、いいと思っていた。
でも今は、違う。
僕は——天音のことを、もっと知りたい。

