「またまた~!姐さんの武勇伝は聞いてますから!!」
ぽむっと、少年に笑顔で肩を叩かれた。
うわ~……ふ、ふれんどり~……。
それより私の武勇伝って何なんだろ。
めちゃくちゃ気になるんですけど……。
「はいはい、そこまでな」
群がってくる少年達を、ケイジくんがしっしっと手で払う。
まだ興奮冷めやらぬ彼らは、何度か私をチラ見しつつも渋々コートへ戻っていった。
「ももちゃん、すぐ自虐ネタに走ってまうもんな~」
「ハハハハハ……」
さすが、よくわかってらっしゃる。
「で、飛野さんにクロちゃん。二人が連れてきたん?」
ケイジくんの視線がちらりと、私から隣の二人へ移る。
探るような、どこか油断ならない目。
ケイジくんはふとした瞬間、こういう顔をする。
いや、もしかしたら……他愛のない会話の最中でも、彼は別の企みを抱いているのかもしれない。
だからちょっぴり緊張しちゃうのも事実。
「いや、俺が」
答えたのは飛野さんだった。
「別にいいだろ?隠すことでもねえし」
飛野さんはケイジくんのその“目”にも、いつも通りの笑顔で返す。
この流れからすると、私をここに連れてきたのは、飛野さんの独断ってことなんだろうか。
ハイジのあの驚いた顔やケイジくんのセリフからすると、そうとしか思えない。
つまり、ハイジ達がバスケしてる姿を私に見せるために……?
「ふ~ん。クロちゃんは付き添い?」
「おいおい、俺が暇を持て余してるみたいな言い方すんじゃねーよ。最終ヘイキだろ、俺は」
タイガはどや顔で胸を張る。
『暇人なわけじゃないんだよ』とアピールしまくっていた。
「へえ……あ、じゃあハイ。飛野さん」
ケイジくんはそんなタイガを軽くいなし、飛野さんに何かを手渡した。
さっき見えたシルエットが丸かったから、バスケットボールかなと思ったんだけど──
飛野さんの手のひらに乗ってる物。
「お前、コレ……」
それはバスケットボールじゃなくて、たこ焼きボールだった。


