気まぐれヒーロー3



「俺が来た時には、もうアイツの背中には火傷の跡があった」

「え?“来た時”って……ケイジくん、一緒に住んでたんじゃ……」



彼の言葉には、どうしても引っかかるところがあった。

気になって、それをそのまま口にすると、



「知りたい?」



途端に、ケイジくんの瞳の色が変わった。

冗談を切り捨てるみたいに、静かで真剣な光を携える。

その空気にのまれて、思わず背筋が伸びてしまった。



「なんで俺だけが、関西弁なんか。そのワケを」



今まさに、彼の口から語られようとしているのは——

ハイジとケイジくんの、過去。



「たこ焼き仙人の呪い、じゃなかったの?」



何か言わなきゃって、思ったんだ。

だからって、咄嗟に口をついて出たのが、こんなセリフとはね。



「──ふはっ、」



数秒の沈黙のあと、ケイジくんは吹き出し、
次の瞬間にはうひゃひゃと笑い始めてしまった。



「そーそー、仙人のノロイ~。ももちゃんカワイイな~」

「ぐっ……!」



自分で言ったくせに!!

真っ赤になる私をよそに、ケイジくんはずっと変な笑い声をあげていた。


でもさ、たこ焼きボール買ってきたりタコ女王の朝美様を手懐けたり、絶対怪しいとこはあると思うのよね。

ケイジくん自ら“たこ焼き仙人に呪われた”発言したくせに、なんか私がイタイ子みたいになって非常にやるせなかった。



「あ~、せっかくマジメなってたのに。ももちゃんにはかなわへんなぁ」



はあ、っと深く息を吐いて呼吸を整え、ケイジくんは仕切り直して、改めてこちらに視線を戻してきた。


その瞳は、とても柔らかかった。

ほんのちょっとだけ、ドキッとする。


彼はこうやって時々、演技ではない表情を見せてくれる時がある。

ハイジとはまた違う、ふんわりと包み込んでくれるような穏やかな眼差しをくれる。


不思議な人。



「アイツがムキになんのも、何となくわかるわ」



そして不意に……

彼の指が私の頬へ触れ、やわらかく添えられた。