「冬といえばこれだよ」

長い髪を細いヘアゴムでひとつにまとめた雪ノ瀬さんが、グラコロを頬張りながら顔をやわらかく崩す。

「私はエビ苦手だから、冬は三角チョコパイ」

私たちは普段利用しない、M駅の近くにある大きなショッピングモールに降り立った。

1階のフードコートにあるマクドでグラコロと三角チョコパイを頼む。

「ここは同級生があんまいないから、私のオアシスなんだよ」

グラコロのホワイトソースを口の端につけながら、ニヒルな笑みを浮かべた雪ノ瀬さん。

彼女の口の端についたホワイトソースをなめてみたいな、と変態的なことを考えながら、マクドの緑色のトレイに降りかかる、三角チョコパイの茶色い雪を眺める。

「ゆ…茉莉花、食べるの早くない?」

グラコロの包み紙を畳んでいた茉莉花にそう問いかけると、「そうかな?」と平然とした返事が返ってきた。

私は三角チョコパイの最後の一口を頬張り、指についた三角チョコパイの雪を払い落とした。