部活が終わったある日。
「名」だけの顧問が俺を呼んだ。
野球に関しては「お前たちの野球をしろ!」と言って任せきりだった。
俺は、顧問なんていなくて楽だと安易に考えていたから、やりがいがあった。
悪くいえば、放し飼い。
良くいえば、自由に出来る環境を作ってくれた。
「で、どうだ?調子は?」
一回も練習に顔出さない顧問に何故か?冷めてた。
「みんな、一生懸命です。」
部員の名前すら全部知らねークセに…!
「何もないなら、俺、練習戻ります。」
頭を下げて、職員室から出ようとした時だった。
「宮原が、来月転校する。」
「はっ…?」
楓が、転校…!?
「次のマネージャー探すか?」
俺の、頭の中は真っ白で固まった。
嘘だろ…?
「おい?聞いてんのか?」
顧問の声に、腹が立って
「いらねーよ!」
俺は逃げるように、職員室を出た。