Starry Flight, I Will Remember You

飲み物を配りながら、私はふと過去を思い出していた。

どうして私たちは別れたのか

――その答えは、ずっと胸の奥に沈んでいる。

私は客室乗務員として、世界を飛び回っていた。

朝は成田、夜はシンガポール。翌週にはヨーロッパ。

空港とホテルを渡り歩く生活の中で、地上にいる時間はいつも短かった。

友人と会う約束も、家族と過ごす時間も、すべてフライトスケジュールに左右されていた。

彼もまた、出張の多い仕事をしていた。

国内外を飛び回り、会議や商談に追われる日々。

「次の週末なら会えるかも」

「来月には落ち着くはず」

そんな言葉を何度も交わしたけれど、約束はいつも延期され、やがて「また今度」が口癖になった。

その「今度」は永遠に訪れなかった。

すれ違いが積み重なり、互いに会えない時間が増えていく。

電話の声だけでは埋められない距離が、少しずつ心を蝕んでいった。

夜中にホテルの部屋で受け取る彼のメッセージ。

「今どこ?」

「もう寝た?」

短い言葉のやり取りだけで、心を繋ぎ止めようとしていた。

けれど、画面越しの文字は、やがて温度を失っていった。

互いに努力しても、時間の壁は越えられなかった。 やがて私たちは、静かに別れを選んだ。

最後に会ったのは、空港のロビーだった。

私は制服姿で、彼はスーツ姿。

「じゃあ、行ってくるね。」 「うん、気をつけて。」

それだけの言葉を交わし、背を向けた。 振り返れば、彼はまだそこに立っていた。

けれど、私は振り返らなかった。

その瞬間から、私たちは別々の道を歩き始めた。

それでも、心の奥にはいつも残っていた。

彼の笑顔、声の響き、ふとした仕草。

そして、彼もまた同じように思い残すものを抱えているのだと、今夜の視線が教えてくれた。