Starry Flight, I Will Remember You

私は通路を歩きながら、制服のジャケットの裾を整えた。

笑顔は崩さず、背筋はまっすぐ。

歩幅は一定で、揺れる機体の中でも安定感を保つ。

それは、何年も積み重ねてきた習慣であり、客室乗務員としての矜持だった。

「お飲み物はいかがでしょうか。」

トレイを抱えながら一人一人に声をかける。

そして、 トレイを持つ手は、常に水平を意識する。

紙コップを差し出すときは、指先まで神経を行き渡らせ、揺れに備えて軽く支える。

乗客の目を見て、声のトーンは柔らかく、しかしはっきりと。

通路の奥では、シートベルトを緩めている乗客がいた。

私はすぐに歩み寄り、膝を軽く折って目線を合わせる。

「恐れ入りますが、シートベルトをお締めください。安全のために必要です。」

言葉は丁寧に、しかし指示は明確に。

乗客が頷き、カチリと金具が閉じる音を確認してから、私は微笑んだ。

子どもが退屈そうにシートに身をよじっていた。

私はしゃがみ込み、目線を合わせて声をかける。

「ジュースにしますか?それともお水?」

小さな手が差し出され、私は紙コップを渡す。

その瞬間、子どもの笑顔が広がり、周囲の空気が少し和らぐ。

機内の照明が落ち、静けさが広がる。

私は通路を歩きながら、乗客の表情を一人ひとり確認する。

眠っている人、読書をしている人、窓の外を見つめる人

――その中に、彼の姿もあった。

視線を感じながらも、私はプロとしての顔を崩さない。

心の奥では、さっきの会話がまだ残響していた。

けれど、私は客室乗務員。

仕事を理由に彼から離れるしかなかった。