出来ないことがあったって

 「はぁ、なんで、こんな足なんだろ。」私は、もう動かなくなってそろそろ2年経つ足を眺めて呟いた。
 「心音、また、足見てため息ついてる。心音がやったことは正しかったの、だって、心音が助けなかったら、あの男の子死んでたんでしょ?」と親友の美咲が、励ましてくれた。
 「美咲、ありがとう、でも、こんな足だったら、あの人に振り向いてもらえない、」と私は、だんだん声が小さくなりながら言った。美咲に、まだ好きになった人のことを言えてないからだ。「え?心音、あの人って、誰?」と美咲は聞いた。

 私は、昨日の入学式で、3段ほどの小さな階段が登れなくて、困っていた私を助けてくれた同じクラスの、小林翔という人のことが好きになったのだ。「美咲、私、小林くんのことが好きになったかも、」と私は言った。すると、美咲は、驚いて、「え?そうなの?」と言った。「心音、何があったの?」と美咲が興味津々に聞いてきた。私は、「昨日ね、体育館に向かう時にちょっとした階段あったじゃん?そこが登れなくて、困ってたら、小林くんが上まで運んでくれたんだ!すごくかっこよかった。」と言った。
 すると美咲は「そっか、でもそれって事故がなかったら、好きになれなかったよね。」と言った。私は、不思議に思って、「何で?」と聞いた。
 美咲は、「だって、今車いすに乗ってるから、階段上れないんだよ?もし、事故がなくて、心音が普通に歩けてたら、そこで小林くんに助けてもらうことはなかったんだよ。」と言った。私は、「あ、そっか、じゃあ良かったのかも。」と言った。

 すると、美咲が思い出したかのように、「あ、そうだ、でも、池田望愛って子が中学の時から、小林くんのこと好きって噂流れてるから、負けないように頑張らないとね。」と言った。私は、車いすの私とは違って、どこに行くにも自由そうで、身軽な池田さんをみながら、「そうだね、」と呟いた。

 そして、高校初の席替えの日がやって来た。その班で、入学して最初のイベントである親睦会的なイベントを行うらしい。
 その結果は、なんと、班のメンバーは、私、小林くん、望愛ちゃん、美咲、小林くんと仲良しの男子二人の6人班だった。席は、私の隣が小林くん、私の後ろが小林くんの友達、小林くんの後ろが望愛ちゃん、美咲は私の二つ後ろだった。

 その日の昼休み、望愛ちゃんに声をかけられた。「ねね、心音ちゃん、美咲ちゃん、今度の親睦会ゲームとか班対抗でするみたいだから、頑張ろうね!私、二人と仲良くなりたいから、一緒にお弁当食べない?」私は、「良いよ!」と言った。美咲は、「いいね!仲良くなろ!」と言っていた。

 お弁当を食べている途中、「聞いて、良いのかな?もし、言いたくなかったら言わなく良いんだけど、心音ちゃんが車いす乗ってるのって生まれつきの何か?」と望愛ちゃんが聞いた。私は、「ううん、違う。中学二年生の時にね、車で轢かれそうになっている小学生を助けたんだ。そしたら、足に障害が残ちゃって、」と言った。すると、望愛ちゃんは「そうだったんだ。でもさ、誰もが出来ることじゃないからすごいよね!」と言った。
 「そう!心音はすごいよね、なのにね、なんか、そんなことないってずっと言ってるんだよ。」と美咲が言った。「美咲は他人事なんだよ、今まで歩けてたのに歩けなくなる不自由さ分かってないから言えるの。」と私は言った。

 「あのさ、二人に聞いて欲しいことがあって、」と望愛ちゃんが言った。私は、「なに?」と聞いた。すると、望愛ちゃんは「私さ、小林くんが中学の時からずっと好きで、こんな席近くなるの初めてですっごく今嬉しいの!」と言った。
 私は、望愛ちゃんに私の気持ちを言うか悩んだ。すると美咲は「これからも、望愛ちゃんと仲良くできそうだし、心音の思ってること言ってもいいと思うよ、」と言ってくれた。
 だから、私は、「望愛ちゃん、私ね、入学式の時に小林くんに助けてもらって好きになちゃったの、」と言った。すると望愛ちゃんは、予想とは違って、「そうんなんだ。じゃあ、私たちライバルだね、小林くんがどっちを選んでも恨みっこなしだね。分かるよ、小林くんすっごくイケメンだもんね。好きになる気持ちすごく分かる。」と一緒に頑張ろうと言ってくれたのだった。

 私は、驚いて、「え?私をライバルとして認めてくれるの?」と聞いた。それに望愛ちゃんは「何で、認めないと思ったの?」と聞いた。私は、「車いすに乗ってるし、望愛ちゃんより後から好きになったし、色々?」と言った。
 望愛ちゃんは、「好きになるのは、後先関係ないよ、それに、車いす乗ってるってだけで、小林くんに合わないとか言うわけないじゃん。」と言って笑った。
 私は、望愛ちゃんはライバルだけど、友達としても仲良くやれそうだと思った。