柔らかな光が差し込むロビーに足を踏み入れた瞬間、気持ちも切り替わる。

朝は社員たちが足早に受付を通り抜け、昼になると取引業者が名刺を手に訪れる。
会社のロビーには絶えず人の流れがあり、同じように見えても、毎日少しずつ違った表情を見せる。
ここに四年も座り続けると、社員の雰囲気や表情のわずかな変化にも気づけるようになっていた。

私が朝一番にやることは、メールの確認だ。
受付カウンターに腰を下ろし、タブレットにログインする。
そして、社内からの連絡事項や来客予定の変更がないかをチェックし、問題がなければ今日訪れる取引業者の名前、時間、担当部署などを最終確認する。
あとは会議室のスケジュールにも目を通し、頭の中で一日の流れを組み立てていく。

隣には後輩の石田奈子(いしだなこ)ちゃんが座っている。
彼女はいつも明るくて、こちらまで元気をもらえる存在で、電話対応や来客案内など二人で協力して業務を進めていく。

九時を過ぎると、ロビーは一気に活気づき、社員や来客の足音が絶え間なく響き始めた。

来客者の名刺を受け取り、来客リストを確認して会議室に案内したり、来客用スペースで待ってもらったりを繰り返す。
時折、常連の業者の人が気さくに声をかけてくれ、緊張した雰囲気の中に小さな笑いが起こる。

昼のチャイムが鳴ると、私は奈子ちゃんに「お先に」と声をかけて受付カウンターを離れた。