翌日。
昨日の豪雨が嘘みたいに、空は澄み渡っていた。

私、椎名(しいな)みのりは玩具メーカー『ジョイントイ』の受付で働いている。

ガラス張りの自動ドアを抜けると、目に飛び込んでくるのは壁際にある玩具の展示ケース。
歴代の人気キャラクターや新商品の玩具、子供向けの知育玩具などがディスプレイされ、柔らかな照明に照らされている。
訪れた人がケースの前で足を止め、興味津々に覗き込んだりしている姿を見ると自然と笑顔になる。

床は白を基調とし、ところどころに我が社の人気キャラクターがデザインされたタイルが散りばめられ、遊び心のある空間を演出していた。
来客用のスペースには観葉植物が置かれ、優しい緑色がいいアクセントになり、リラックスして過ごせるような雰囲気に作られている。

正面の受付カウンターは、木目調のパネルとガラスで作られていて、座ると自然に背筋が伸びた。

受付は"会社の顔"でもあるので、常に笑顔を心掛けて「いらっしゃいませ」と声をかける。
カウンターの横には、入館証をかざすと反応するICセンサーも設置されていた。

更衣室で制服に着替えた後、鏡を見ておかしなところがないかチェックする。
受付の制服は、薄いパステルブルーのブラウスにネイビーのスカート。
胸元には会社のロゴの入ったバッジをつけている。
ブラウスの襟を整えて、更衣室を出た。