雨宮さんからメッセージが届いたのは、ショッピングモールで偶然会ってから、四日後の水曜日だった。

【こんばんは。突然すみません。今週の土曜日、空いていますか?一緒に食事でもと思って連絡しました】

真面目な文面に、雨宮さんらしいなと思ってしまう。
敬語じゃなくてもいいって言ったのに。
特に用事もなかったので【空いています】と返信した。

そして、土曜日の夕方。
待ち合わせの駅前のロータリーに向かうと、約束の時間よりかなり早く着いてしまった。
街灯の下でスマホを弄りながら、雨宮さんを待つ。
周りをキョロキョロ見回してはスマホに視線を戻したりと、落ち着きなく過ごしている。

やがて、黒のセダンがロータリーに滑り込む。
運転席のドアが開き、雨宮さんが降りてきた。

「ごめん、待たせた?」

申し訳なさそうに眉を下げる彼の表情を見て、私は首を横に振った。

「いえ、私が時間より早く来てしまったんです」
「それならよかった。じゃあ、乗って」

そう言うと、雨宮さんは助手席のドアを開けてくれた。
彼の流れるような仕草に胸が高鳴りながら、そっと乗り込む。

シートベルトを締めると、車は静かに走り出した。
車内は洋楽のロックが流れている。
窓の外の流れる景色を眺めながら、チラリと雨宮さんの運転姿に目をやる。
真っ直ぐ前を向いてハンドルを握る横顔に見惚れてしまい、胸の奥がじんわりと熱くなるのを感じた。