運命の恋は、雨のバス停から

「それに、映画を一緒に観てくれる人がいないなんて、あれは完全にアピールでしょ」
「いやいや、そんなことはないでしょ」

否定しながらも、心の奥ではほんの少し期待している自分がいることに気づいてハッとする。
その気持ちを追い払うように頭を振った。

「あるって。この恋愛マスターの私が言うんだから間違いないよ」
「いつから恋愛マスターになったのよ。この前、彼氏と別れたって言ってたでしょ」

直美は気まずそうに頬をかき、咳払いして再び口を開いた。

「私のことはどうでもいいのよ。それより、ぱっと見、あの人は誠実そうだったしいい人そう。みのり、三年ぐらい彼氏いないんでしょ?これは何やら恋の匂いがしますねぇ」

直美がニヤリと笑い、私の腕を人差し指でツンツンと突いてくる。

「やめてよ。ほら、次の店に行くよ」

私は視線をそらし、恥ずかしさを誤魔化すように足早で歩き出した。

「はやっ、ちょっと待ってよ!」

直美が小走りで追いついてきて並ぶ。
そんなに早く歩いたつもりはなかったけど、少し息を切らしている彼女を見て、ついクスッと笑ってしまった。