運命の恋は、雨のバス停から

「ちょっとちょっと、誰よあのイケメン!」

直美が興味津々に尋ねてくる。

「前に、豪雨の日に傘を渡したって話をしたでしょ。その時の彼よ」
「マジ?ちょっと待って!あの時、顔はそこまで見ていないとか言ってなかった?普通のサラリーマンって言ってたよね」

よくそんなことを覚えているなぁ。
二度と会うことはないと思っていたから、どうにか誤魔化したのに。

「あの時は、豪雨でよく顔が見えなかったんだって」
「怪しいな……」

直美は怪訝そうな目を向けてくる。

「まあ、そんなことよりさっきの会話から、二人は何度か会ってるっぽいけど付き合ってんの?」

私は鋭い指摘に苦笑いしながら答えた。

「付き合ってはいないよ。実はね、うちの会社の取り引き先の人なんだ。偶然、彼が会社に来た時に私が対応して、それから傘を返してもらったの」
「えー、すごい偶然じゃん。なんか運命的なものを感じるけど」
「運命なんて大袈裟だよ」

私は笑って否定しながらも、自然と鼓動が速くなる。

「なんでよ。それに、また連絡するって言ってたから脈ありでしょ」

直美は興奮気味に声を弾ませた。