「みのりは気に入った服ある?」
「私は、このチェック柄のスカートを買おうかなと思ってる」
「えー、可愛いじゃん。これにニットを合わせたらいいんじゃない?」
そう言って、直美は自分が手に持っていたニットを持ち上げる。
「やめてよ、欲しくなるでしょ」
「買えばいいじゃん。絶対みのりに似合うと思うよ」
悪魔の囁きに誘われるまま、私はチェック柄のスカートとブラウンのニットを手にレジに並んでいた。
ショッピングバッグを手に店を出て歩いていると、目の前から歩いてくる男性と視線が合い、心臓が跳ねた。
ボーダーのTシャツに薄手のブルゾンを羽織り、ジョガーパンツを合わせてカジュアルに着こなしている。
「あっ……」
思わず声が漏れる。
彼も私に気づいたらしく、少し驚いたように目を見開いた。
「椎名さん?」
私の名前を呼んだのは雨宮さん。
「偶然ですね。雨宮さんは今日はお休みですか?」
「うん。映画を観ようと思って」
「一人で、ですか?」
つい聞いてしまった。
「まあね。一緒に映画を見てくれる人がいないから」
雨宮さんが肩を竦めて照れたように笑う姿を見て、胸が高鳴った。
一人だと聞いて、どこかホッとしている私がいた。
「……そうなんですね。私は同期と買い物に来てました」
私は隣にいた直美の方を見ると、彼女は軽く会釈して笑っている。
「買い物か、いいね。じゃあ、映画の時間が迫っているので。また連絡するよ」
「はい」
私は頷いて軽く手を振り、雨宮さんに別れを告げた。



