運命の恋は、雨のバス停から

「ねぇ、このバッグどう思う?色もベージュで落ち着いているし、仕事の時にも使えそうじゃない?」
「いいんじゃない?直美って、A四サイズの書類が入りそうな大きさのバッグをよく選ぶよね」
「確かに、そういわれると家にもこの大きさのバッグがごろごろあるわ」

私の指摘に直美は肩を竦めて苦笑いする。

土曜日の午後、私は直美の運転でショッピングモールに来ていた。
家族連れや友人同士、カップルなどで賑わっている。

季節は十月ということもあり、ショッピングモール内の店は秋らしい色合いのディスプレイで飾られている。
今は雑貨屋で、直美が棚に置かれているバッグを手に取って買おうかどうか悩んでいるところだ。

「それで、買うの?」
「ううん。家にも同じようなバッグがあるから、今日は止めておくわ。みのりのおかげで無駄遣いせずにすんだわ」

直美は手に持っていたバッグをそっと棚に戻した。

次に入ったのは服のショップ。
ボルドーやブラウンのニットにトレンチコートを合わせたマネキンが置いてある。
それを見て、秋だなと思う。

「このボルドーのニットいいかも。今ぐらいの時期に着たらちょうどいいと思わない?」
「いいと思うよ。直美に似合いそう」
「ホント?じゃあ、買おうかな」

直美はボルドーのニットを手に取り笑顔を浮かべている。