運命の恋は、雨のバス停から


「あれでもすごく驚いていたんですけど……おかしいな」

そう言って、首を傾げる姿に胸がキュンと締め付けられた。
私は思わず視線をそらし、運ばれてきたコーヒーを一口飲む。

「でも、本当に不思議ですよね。またこうして会えるなんて、運命みたいですね」

彼の言葉に心臓が跳ねた。
テーブル越しに目が合うと、雨宮さんが柔らかな笑みを浮かべる。

「運命ですか……。そんな風に言われるとちょっと照れちゃいますね」

私は少し顔を赤くしながらコーヒーを飲んで、胸の高鳴りを落ち着かせた。
窓からの斜めの日差しがカップの縁に反射してきらりと光る。

一呼吸おいてから、お互いに自己紹介をすることにした。

「改めて名乗ると、雨宮環(あまみやたまき)。二十八歳で営業の仕事をしています。普段は外回りが多くて、移動中はよく音楽を聴いてます」
「えっ、二十八歳ですか?」

思わず声に出して言ってしまった。
落ち着いた雰囲気や声のトーンから、もう少し年上だと思っていた。

「そうですけど、もっと老けているように見えました?」

雨宮さんは冗談めかしてクスッと笑った。
私と二歳しか違わないと知って、急に親近感が湧いてくる。

「いえ、大人っぽい人だなと……」

どうにか誤魔化してみたけど、声が少し震えてしまった。