運命の恋は、雨のバス停から


『あっ、無理にとは言いません。今度、椎名さんの会社に訪れた時に返すので』

思わぬ展開に胸の高鳴りが止まらない。
ふと、奈子ちゃんが『ドラマみたい』と言っていたことを思い出す。
本当にドラマみたいな展開で、頭が追い付かない。

「……分かりました。近いうちにぜひ会いましょう」

勇気を振り絞って答えると、電話の向こうで小さな息が漏れるのが聞こえた。

『ありがとうございます。では、日程は改めて連絡します』
「はい。では、また……」

通話が切れるとスマホをテーブルの上に置いて、大きく息を吐いた。
心臓がまだドキドキして落ち着かない。

さっきの会話を反芻する。
――え、ちょっと待って。
私は雨宮さんと会う約束をしたんだよね?

『改めて連絡します』と言っていた彼の声が、まだ耳の奥に残っている。
真っ暗なスマホの画面を見つめながら、胸の奥で期待と不安が入り混じるのを感じていた。