運命の恋は、雨のバス停から


受け取った名刺を見つめていると、電話を終えた奈子ちゃんが目を輝かせながら尋ねてきた。

「みのりさん!あのイケメンと知り合いなんですか?」

少し戸惑いながらも、豪雨の日にバス停で傘を貸したことを口にする。

「えっ、それってすごくないですか?名前も知らない二人がこうして会うなんて!」

奈子ちゃんは声を弾ませて言う。

「だって、下手したら二度と会えなかったかもしれないんですよね?そんな偶然あります?ドラマみたいでドキドキしちゃいます」

私は苦笑いしつつも、胸の奥がじんわり熱くなるのを感じる。
そして、"雨宮環"と書かれた名刺をそっと見つめ、夜に電話をかける決意した。


***

その夜。
仕事を終え、食事もお風呂も済ませてから、リビングのテーブルの上に置いた名刺をじっと見つめていた。
裏面には十一桁の電話番号が書かれている。
男性に電話をかけるのが久しぶり過ぎて緊張している私がいた。

入社してから付き合った人と別れて二年半が経つけど、それ以来誰とも付き合っていない。
仕事に追われる日々の中で、恋愛は遠いものになっていた。
そんな私が、雨宮さんに会って久しぶりに胸を高鳴らせている。

「あー、緊張する……」

声に出して呟くと、深呼吸をしてスマホを手に取った。
指先が震えながら番号を押し終え、通話ボタンをタップすると、すぐに呼び出し音が響いた。