王子様はお姫様を愛し尽くしたい〜23時のシンデレラ短編〜

「英玲奈も思った〜馬鹿らしいもん」

「は?! お前が言うな」

「きゃはっ」

「……」

(うぜぇ)

(コイツとは一生、合わねー)

(麗夜はこんな女のどこがいいんだ?)

随分前に一度聞いたことがあるが、麗夜は『颯には一生わからないよ』と言われ、それ以来聞いたことはない。

(一生、どうでもいいわ)

(美弥が世界で一番いい女に違いねぇんだから)

俺はそう結論づけるとチーズを口に放り込む。

「颯、そういえば子供たち大丈夫そうだった?」

「ああ。ぐっすり寝てるから朝までコースだろ」

「そっか。ありがとう」

「こちらこそさっきは寝かしつけありがとな」

「全然だよ」

俺たちのやり取りをみていた英玲奈がふっと笑った。

「……何だよ」

「ほんと颯がパパとか今だに笑えるなって〜」

「どういう意味だよ?」

「そのまんまの意味だけど〜。双子と颯の育児までほんと美弥ちゃんすごいよね〜」

「誰が美弥に育てられてんだよっ」

俺が睨めば英玲奈がケラケラ笑い、美弥もついに声をあげて笑いだす。

「そっちこそ麗夜が父親とかマジでイメージないわ」

英玲奈は現在、妊娠五ヶ月目に入るところで、モデルと女優の仕事をセーブしている。

つわりが酷かったこともあり、麗夜が残業を減らして定時に帰ることも多かった。

兄弟だけあって、意外とあいつも尽くすタイプらしい。