王子様はお姫様を愛し尽くしたい〜23時のシンデレラ短編〜


「はぁあ。アイツ、誰に似たのか手がかかんだよ。言うこと聞かねーし」

「誰って、颯に瓜二つじゃん」

「は? 俺はもっと品行方正だ」

「よく言えるね。てか、颯がマシになったの美弥さんのお陰だよね」

「マシってなんだよっ」

俺がわざと麗夜を睨んで見せれば、麗夜が愉しげに綺麗な二重瞼を細める。

「てか、親父。お前んとこの子供もすっごい楽しみにしてんぞ」

俺の言葉に麗夜がすぐに嬉しそうに頷く。

「うん……それはすごくわかる。父さんに英玲奈の体調聞かれたときに、エコー写真見せてあげたらすごく嬉しそうにしてたから……父さんってあんな風に笑うんだね」

「ほんと変わったよな……あの親父がな」

「だね」

少しの間、俺たちはおそらく同じようなことに想いを巡らせながら、黙ったままワイングラスを傾ける。

少し冷たくなってきた夜風が、アルコールの入った身体にはちょうど良い。


「あ、そうそう先週のことだけどさ。お前意外と気にしてるみたいだけど、本家の重役なんかほっとけよ?」

「……まぁ、意外と気にはしちゃうよね」

親父は俺たちを連れて先週、本家の重役たちにも次期後継について発表をしたのだが、一部からは想定通り、反発があった。

「あんまり煩く言ってくるなら、俺も親父も黙ってねぇかんな」

「ありがとう……でもさ、父さんみたいにやれるかな。父さんと……血のつながってない僕が社長だなんてさ」

俺は麗夜らしくない、その言葉にふっと笑った。

「ほんと馬鹿兄貴だよな。この際だから言っとくけど、俺は親父から聞かされる前から、お前が適任だと思ってた」

「え?」