「……ところで、ほんとにいいの?」
わずかに流れた静寂を破って先に口を開いたのは麗夜だった。
(ああ。また《《あのこと》》か)
「何回言ったらいんだよ。お前が適任」
「うん……。でも正直、安堂の血を引いてない僕が──社長だなんてさ」
「てか決めたのは親父だろ」
「……まあね」
安堂不動産は今年で創業百年を迎える。その節目もあって一か月前、親父は社長を退任し会長に就任したい旨を俺たちに話した。
そして俺の副社長の座はそのままに、社長の後継には麗夜を指名したのだ。
「でも突然なんでなんだろう。父さんだってまだ若いのに」
「あー、それな」
親父は口には出さなかったが、麗夜が父親になることも社長を退くキッカケのひとつだと俺は思っている。
「多分だけどさ。親父はずっと後悔してんじゃない? 俺たちに父親らしいことできなかったこと。だから孫にってのもあると思う」
「自分がしてあげられなかったことを、僕たちの孫にしてあげたいってこと?」
「じゃないか? 今だって暇さえあれば、保育園かっていうくらい、社長室で颯斗と美優の面倒見てくれてるしな」
「ああ、この間は颯斗が父さんにお馬さんごっこしてもらってたよ」
「え? 嘘だろ……」
俺はあの親父の背中に乗ってはしゃぐ颯斗を想像して、げんなりする。
わずかに流れた静寂を破って先に口を開いたのは麗夜だった。
(ああ。また《《あのこと》》か)
「何回言ったらいんだよ。お前が適任」
「うん……。でも正直、安堂の血を引いてない僕が──社長だなんてさ」
「てか決めたのは親父だろ」
「……まあね」
安堂不動産は今年で創業百年を迎える。その節目もあって一か月前、親父は社長を退任し会長に就任したい旨を俺たちに話した。
そして俺の副社長の座はそのままに、社長の後継には麗夜を指名したのだ。
「でも突然なんでなんだろう。父さんだってまだ若いのに」
「あー、それな」
親父は口には出さなかったが、麗夜が父親になることも社長を退くキッカケのひとつだと俺は思っている。
「多分だけどさ。親父はずっと後悔してんじゃない? 俺たちに父親らしいことできなかったこと。だから孫にってのもあると思う」
「自分がしてあげられなかったことを、僕たちの孫にしてあげたいってこと?」
「じゃないか? 今だって暇さえあれば、保育園かっていうくらい、社長室で颯斗と美優の面倒見てくれてるしな」
「ああ、この間は颯斗が父さんにお馬さんごっこしてもらってたよ」
「え? 嘘だろ……」
俺はあの親父の背中に乗ってはしゃぐ颯斗を想像して、げんなりする。



