王子様はお姫様を愛し尽くしたい〜23時のシンデレラ短編〜

「いい女でしょ?」

「どこがだよ! 俺の『たまごちゃんクラブ』も馬鹿にしやがって」

「え? 大事に本棚に飾ってあるけど?」

「さっき聞いたけど、俺の真似したくねーんだって?」

キッと睨めば、麗夜がククッと笑う。

「違う違う。颯の良いところを取り入れて、僕なりのいい父親にならなきゃなって、話を英玲奈にはしたんだけどね」

「は? 全然ニュアンス違くね?」

「うん、だから可笑しくて」

「……なんだよ、なんか俺が勘違いしたみたいになってんじゃん」

「まぁ、英玲奈も颯も早とちりするとこあるからね」

「あー、アイツと2個セットみたいに言うな。地味にヘコむ」

「あはは」

俺は麗夜の笑顔を見ながら唇を持ち上げた。


(ほんとよく笑うようになったよな)

英玲奈のよく言えば天真爛漫で嘘のない性格は、内にこもりがちな麗夜には合ってるのだと思う。

(俺には美弥しかいないけど)

(麗夜にとっても英玲奈しかいないのかもな)

(……俺も麗夜も幸せ者だな……)

この広い世界で互いに互いを必要として、生涯愛し、ともに歩んでいけるパートナーに巡りあえるなんて奇跡以外の何モノでもない。

「お前は……いい父親なるよ」

実の父親を知らないまま育ち、愛されようと必死に努力して生きてきた麗夜なら、きっと無条件で誰よりも深く我が子を愛し守っていくんだろう。

「……努力するよ」

俺のこぼした本音に麗夜がそう返事をすると照れ隠しをするように髪をかき上げた。