王子様はお姫様を愛し尽くしたい〜23時のシンデレラ短編〜

俺は予想外の言葉に驚く。麗夜が仕事を振らないのは俺に遠慮していたのではなく、兄として見栄を張りたかったから。

「なんだよそれ」

「だから颯に遠慮してるわけでも、頼りたくないわけでもないから。ちゃんと、しんどくなる前に“お願い”するよ」

「……あっそ」

なんだか改まって俺に対して信頼ともいえる言葉を聞くと、嬉しいのに気恥ずかしくてそっけなくしてしまう。

「照れたんだ?」

「どの口が言ってんだよ」

「颯のことは結構わかるんだよね。あとこう見えて、僕は意外とブラコンだし」

「な……っ」

「知らなかった? 弟って可愛いね」

「か、可愛……」

追い打ちをかけるように言われた言葉に、勝手に顔が熱くなる。

「な、なんなんだよ……っ」

「ん?」

「……二人そろって、俺を揶揄いやがって」

「あ、英玲奈とまたやりあったの?」

「そうだよっ、とんでもねぇ女と結婚しやがって」

俺の言葉に麗夜がぷっと吹き出す。

「どっちが勝ったの?」

「当然、俺」

「あはは。毎回英玲奈と逆のこと言うよね」

「ここだけの話、俺、アイツ嫌いだかんな」

「そういう割に仲良しに見えるけどね」

「美弥とおんなじこと言うな」

麗夜がまた白い歯を見せて笑う。

麗夜は英玲奈と結婚してから、表情が柔らかくなった。

俺や親父の前で作り笑いもしなくなったし、以前よりも喜怒哀楽が豊かで人間らしくなったと思う。

いつも笑顔の人形みたいなやつだと思っていた時期もあったが、今の麗夜を見ればそれが嘘みたいだ。

(認めたくねぇけど……英玲奈のお陰なんだろうな)